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健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
多くの病気は、体内の「過剰な糖」が引き金だった
ストレスがかかって交感神経が刺激されると、「グルカゴン」や「アドレナリン」など血糖値を上昇させるホルモンの分泌量が増加します。さらにこれと並行して、インスリンの抵抗性が強まり、血糖値も上昇してしまいます。
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンの一種で、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込み、血糖値を下げる働きがあります。血液検査を行ない、「血糖値が高い」「高血糖」と言われたら、それは血液中のブドウ糖量が多いということです。
このブドウ糖はグルコースとも呼ばれ、ごはんやパンなどの主食や砂糖などに多く含まれています。ごはんを食べると元気が出ることからもわかるように、ブドウ糖は体を動かすエネルギー源です。
ところが、日本人の糖尿病患者の9割に見られる2型糖尿病の場合、インスリンの働きが悪くなり、ブドウ糖が細胞に吸収されないまま血液中に残るようになります。
実は、体内に糖が大量に存在すると猛毒になります。糖が体内でいろいろなタンパク質にくっつくのを「糖化」といいますが、この糖化には非常にやっかいな特徴があります。
普通、体内で起こる化学反応は「酵素反応」といって、反応そのものは可逆的(一方通行でない)であり、できる物質も酵素反応などを経ていろいろな物質に変化し、不要なものは体外に排出されます。つまり、反応がそこで途切れることはありません。
ところが、この糖化という反応は、糖がタンパク質にくっつくとそこで反応が終わってしまいます。できた物質は体にとって有害ですが、体外へは排出されず、体内に蓄積される一方です。この物質を専門用語でAGEs(Advanced Glycation End Products: 最終糖化産物)といい、さまざまな臓器や血管内にたまり、病気や老化の原因になります。
血管で起これば動脈硬化、目なら白内障、骨なら骨粗しょう症、脳ならアルツハイマー病......と、いろいろな病気を引き起こします。ですから、糖を増やしすぎないよう、交感神経を刺激しすぎない配慮が必要なのです。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
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(岡本 裕/KADOKAWA)
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