「イライラ」「モヤモヤ」してしまうは"脳"のせい!?/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(1)

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「すぐにイライラしてしまう」「なんとなくモヤモヤする」...そんな「負の感情」との付き合い方に悩んでいませんか? 
年齢を重ねれば誰もが感情のコントロールが難しくなるもの。「負の感情」をコントロールし、スッキリ生き生きと生きるために、脳科学や心理学の知見によって得られた効果のある実践的な方法を、書籍『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』から学んでいきましょう。

多くの人は「なんだかイライラする」「モヤモヤが消えない」といった心の動きは、自分自身の性格がもたらすものだと考えていると思います。そうした誰にでもある感情は心から発せられると思われているのですが、その「心」はいったいどこにあるのでしょうか?

好きな人を前にしたり、緊張する場面に遭遇したりすると、胸がドキドキすることから、昔は「心」は心臓にあるのではないかと考えられていました。

しかし、医学の進歩によってそれはどうやら心臓にあるのではなく、脳のなせるわざであることがわかってきました。いわゆる喜怒哀楽といった感情は、脳の働きによって生み出されたものであるということです。感情は脳で生まれて、脳でコントロールされているのです。

「更年期障害でも感情は揺れ動くのではないか?」という賢明な読者もおられることでしょう。確かにその通りで、感情は「すべて脳が司っている」かといえば、一概にYESと言えない面があるからです。
女性が更年期になってホルモンバランスに変化が起きると、イライラしやすくなったり、人によっては粗暴になってしまうといった話を聞いたことがあるかと思います。
最近では男性ホルモンが多い人のほうが男女を問わず社交的になるということが分かってきました。ですから、ホルモンといった体の中の分泌物質もいろいろな形で感情に影響しているということがいえます。

また、人には免疫機能(身体を守る働き)というものがありますが、この免疫機能が低下しているときには気分も沈みがちになります。免疫機能が低下して風邪をひいてしまったときには、「自分は仕事ができないダメな人間だ」と落ち込んでしまったり、さびしくて人恋しくなり、看護してくれる人に好意を持ったりしたことがあると思います。

このように免疫機能が低下しているという身体的な変化をきっかけにして、感情に変化が起きるということもあるのです。

ただし、ホルモンの分泌や免疫機能といったものも、脳の働きを経由してコントロールされているということが言えます。つまり、大きくとらえれば、ほとんどの感情はなんらかの脳の作用を受けたものであるということが言えるのです。

脳と感情の関係については、この本の主となるテーマなので、まずはこの点を理解していただきたいと思います。

次の記事「「楽しい」「怖い」などの感情は大脳辺縁系で生まれている」はこちら。

和田秀樹(わだ・ひでき) 

1960年、大阪府生まれ。精神科医。1985年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て独立。エグゼクティブ・カウンセリングを主とする「和田秀樹こころと体のクリニック」を設立し、院長に就任。国際医療福祉大学大学院教授、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)、川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(とくに自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。著書に『感情的にならない本』(新講社)ほか多数。

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『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』

(和田秀樹/KADOKAWA)

感情の不調は"脳"で治す! 医師にしてベストセラー作家が教える、誰でもできる習慣術。「笑い」を解放することが前頭葉を刺激する、「"こだわり"にこだわらない」がポイント、競輪競馬やゴルフ、マラソンの向上心は脳にいいなど、脳科学や心理学の知見によって得られた「効果のある」「実践的な方法」を一挙に紹介!

 
この記事は書籍 『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』からの抜粋です

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