【相談】
亡くなった主人の相続手続きを行いたいのですが、口座や不動産が多数あります。手続き先ごとにたくさんの戸籍を発行してもらう必要があるのでしょうか?(女性78歳)
小脇先生の【お答え】「法定相続情報証明制度」を利用してみましょう。
「法定相続情報証明制度」を利用してみてはいかがでしょう? この制度は2017年の5月末から始まった新しい制度で、戸籍等の証明書類と法定相続情報一覧図(下の図参照)を法務局に提出することで、亡くなった人(被相続人)の相続関係を証明してもらう制度で、無料で利用できます。この制度の利用により交付される「法定相続情報一覧図の写し」は、戸籍の代わりとして、各種の相続手続きに利用することができ、必要な枚数の交付を受けることができます。
これまで相続手続きの際には、その手続き先ごとに、被相続人の出生から死亡までの戸籍を提出する必要がありました。場合によっては多くの戸籍を何セットも用意する必要がありましたが、その負担を減らすことが可能となります。いわば「家系図」のような書類を法務局に登録しておき、それを証明書として活用できるようになったのです。相続手続き自体が不要となるものではありませんが、相談者のように、手続き先が多数となる場合は、特にメリットが大きい制度となるかと思います。戸籍と違い、発行は無料なので節約にもなります。手続きのおおまかな流れは次の通りです。
1 必要書類の収集 被相続人の出生から死亡までの戸籍等を集めます(必要な書類は ケースによって異なります)。
2 「法定相続情報一覧図」の作成 法務省のホームページにひな型があります。
3 法務局への申出 「被相続人の本籍地」「被相続人の最後の住所地」「申出人(相続 人)の住所地」「被相続人所有の不動産の所在地」のいずれかを管轄する法務局に申出を行います。
4 交付・利用 無料で、必要な枚数の「法定相続情報一覧図の写し」の交付を受けられます。一覧図は5年間保存されるので、この間であれば再交付可能です。
司法書士等の代理人による手続きも可能なので、自身で戸籍の収集や読み解くのが困難な方は、相談するといいでしょう。
小脇 盛(こわき・しげる)先生
東京司法書士会所属、司法書士小脇事務所所長。個人からの依頼による相続や遺言の相談をはじめ、不動産登記・商業登記や債務整理から成年後見まで幅広い案件を担当している。