自分の人生の終わりを前向きにとらえて準備をする「終活」。
エンディングノートを書いたり、物を整理したり、葬儀やお墓の話をしたり...と、考えたり家族と話し合うことはたくさんあります。
そのなかでも「遺産」について悩まれる方は多いのではないでしょうか。
そこでご紹介したいのが「遺贈」です。
「遺贈」のメリットは「社会貢献」と「税金対策」
「遺贈」という言葉を知っていますか?
遺贈とは、遺言によって特定の個人や団体に財産を遺すことをいいます。
これを利用し、社会貢献となる寄付を行う「遺贈寄付」というものに最近注目が集まっています。
「配偶者のいないお一人の方やお子様など相続人がいないご夫婦の場合、ご自身が亡くなった後の財産について国庫に帰属させるのではなく何かに役立てたいと考える方もいらっしゃいます。また、遺産は親族間のもめごとになることもあるため、遺言書で財産の配分をあらかじめ意思表示しておきたいと思われる方が増えているようです」とは、遺贈をサポートする公益財団法人日本財団の遺贈サポートセンターの木下園子さん。
「遺贈」には、相続とは異なるいくつかのメリットがあります。
まず1つ目のメリットは「社会貢献ができる」こと。
「相続」では配偶者や子、親など法律で定められた相手(法定相続人)に財産を相続させます。
しかし、「遺贈」は自分の意志で、「財産を誰にどのくらい遺すか」を決めることができるので、公益法人などに遺贈をすることで死後の財産を社会貢献に役立てることができるのです。
恵まれない環境にある子供たちの支援、教育支援、災害復興支援など、個人や団体の活動をふまえ、自身がサポートしたい活動をしている寄付先を選ぶことができます。
「人生の最後に社会貢献をすることで、これまでの自分の人生を自ら肯定することができたり、自分の想いを未来につなぎ、次世代の社会に役立てることができるんです。また、身近なご家族がいない方は死後、会ったことのない親族に財産が相続されたり、それにより親族間にもめごとが起きることがあります。財産を遺して望まない争いを招くより、社会貢献に役立てて笑顔になる人が増えることは、大きな意義があります」と木下さん。
実際、日本財団に遺贈された寄付金は、児童養護施設卒園者への奨学金給付や障がい者の就労支援、難病の子どもやその家族へのレスパイト支援など多岐にわたり活用されているといいます。
そして2つ目のメリットは、「税金対策になる」ということ。
公益財団法人や認定NPO法人など一部の団体へ遺贈すると、その遺贈分は「相続財産に含まれない」とみなされ課税対象外になります。
ただし資産や家族構成など状況により控除額等は異なるため、税理士など専門家に相談するのが良いでしょう。
また、遺言がなかったとしても、遺族が財産を寄付できる「相続寄付」というものもあります。
「親から受け継いだ財産を相続寄付したいと相談に訪れる50代の方もいらっしゃいます。相続してから10ヶ月以内に公益財団法人などに寄付をすると、その寄付金は相続税の対象から外れ、寄付金の控除が受けられます。遺言書がなくても相続寄付によって故人の意思を叶えることもできるので、生前に親御さんのご希望をよく話し合っておかれるといいですね」と木下さん。
自身の財産を誰にどれだけ遺してどのように活用するのか、もしくは引き継いだ財産をどうすべきかは元気なうちに決めておくことが大切です。
「遺言書」を作成することで遺贈の意思表示をしましょう
では、遺贈寄付するにはどうしたらよいのでしょう。
遺贈寄付をするには、「遺言書」の作成が不可欠になります。
遺言書を作成して財産の配分先をあらかじめ決めておくことは、死後に親族が財産分与で争う可能性を抑えることにつながります。
また、独り身で法定相続人がいない場合は、遺言書を作成しないと死後の財産は国庫に帰属してしまいます。
遺言書を作成することで、法定相続人への配分と、どこにどれだけの財産を遺贈寄付したいかという意思を明確にする必要があるのです。
遺贈寄付の手続きは以下の通りです。
1. 遺贈する団体を決める。
恵まれない子どもを支援したい、開発途上国の発展に役立てたいなど、自身がいなくなった後の未来にどのように貢献したいかを考え、遺贈する団体を決めましょう。
遺贈先の候補の団体には事前に問い合わせをし、寄付の使い道や、遺贈したい財産が不動産や株式など現金以外でも受け入れているのかなどを確認することが大切です。
2.遺言書を作成する。
遺贈先と遺贈する財産が決まったら、死後に遺言の内容を実現してくれる「遺言執行者」を決め、遺言書を作成します。
遺言書には自身で作成する「自筆証書遺言書」と公証役場にて作成する「公正証書遺言書」があります。
自筆証書遺言書は何度でも書き直すことができますが、相続や遺贈に伴って税金等の問題が発生することがあり、また遺言書に不備があるとその効力が失われてしまいます。
作成したら弁護士や税理士などの専門家に確認してもらうとよいでしょう。
3.遺言書を保管する。
遺言書は大切に保管し、万一の場合に遺言執行者に連絡が行く方法を決めておきます。
4.節目ごとに遺言書を見直す。
遺言書は一番新しい日付のものが有効になります。家族構成や人間関係の変化など状況に応じて遺言書を見直し、必要があれば内容を変えましょう。
自分の意志と財産を未来へつなぐため、あなたも「遺贈」を検討してみませんか?
日本財団遺贈寄付サポートセンターでは、遺贈に関する相談を専門スタッフが受け付けています。
また日本財団に対して遺贈をし、希望に沿った支援に寄付を役立ててもらうこともできるので、興味がある人はまずは相談してみてはいかがでしょう?
◆日本財団遺贈寄付サポートセンター
ホームページ:https://izo-kifu.jp/
電話:0120-331-531(9:00-17:00)
提供:日本財団 毎日が発見ネット編集部/PR