認知症が進行している母の後見人に。何か問題はありますか?/税金で悩んだらプロに相談

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認知症が進行している母の預貯金。どのように管理したらいいのでしょう。司法書士の小脇 茂先生にアドバイスしてもらいました。

【相談】

1人暮らしの母の認知症が進行しており、預貯金の管理のため、銀行から成年後見をすすめられました。私が後見人になろうかと思いますが、何か問題はありますか? (女性65歳)

 

小脇先生の【お答え】
途中で辞められないので、しっかりと制度を理解して利用してください。

成年後見人(以下、後見人といいます)としての活動は想像よりも大変です。また、相談者が就任できるかは、家庭裁判所(以下、裁判所といいます)が判断するものとなります。

引き受けなければ良かった!とトラブルになるケースをよくお聞きするので、よく制度を理解した上での利用をおすすめします。

後見とは、認知症などで物事を判断する能力を失ってしまった成年被後見人(以下、ご本人といいます)の財産管理(ご本人の資産の適正な管理から、重要財産の処分などの法律行為)と身上監護(ご本人の住まいの確保や生活環境の整備・施設入所契約など。※食事の世話や実際の介護などは含まれません)を、裁判所から選任された後見人が行う制度です。

重要なのはご本人のための制度であり、ご本人の利益のために職務を行う点です。

お母さまの財産状況によっては、資産運用を考えられたり、ご親族への財産贈与や、貸し付けを行いたい場合もあるかもしれませんが、原則として認められません。また、相続対策も相続人の利益のためでありご本人のためとは考え難く、やはり原則として認められません。

後見人の職務においては、定期的な裁判所への報告も必要となり(これがかなりの作業量です)、怠ってしまうと解任されてしまうこともあります。まずは日々の財産管理や報告作業が自身に可能なのか、よくお考え下さい。お子さまだからといって甘くはしてくれません。

実際の後見人等による使い込みなどのトラブルは、裁判所が処理したものとして2014年は831件(被害額約56億7,000万円)、15 年は521件(被害額約29億7,000万円)にも上ります。これらの不正には、故意に行った不正の他に、「親の財産は自分が使ってもいい」など認識の甘さによる不正も多くあるでしょう。

16年の成年後見開始は約3万4,000人に対して、後見人として選任された親族は約30%、多くは弁護士・司法書士が選任されていることからも後見に関する専門性や困難さをご理解いただけるかと思います。

後見に関しては、「後見は面倒だから辞めたい」、また「後見人(専門職が就任している場合)への報酬が納得いかない」といった不満をお聞きすることがあります。

後見は嫌になったからといって辞められません。ご本人が亡くなるまで(または意思能力が回復するまで)続く制度です。報酬についても、裁判所が、ご本人の資力その他、個々の事情によって、ご本人の財産の中から、相当な報酬を審判により与えるものなので、適正な金額となります。

この制度が始まって17年ですが、内容面の認知は進んでいないと感じています。もっと身近で使い勝手の良い制度へと進展していく必要があると思います。

小脇 盛(こわき・しげる)先生
<教えてくれた人>
小脇 盛(こわき・しげる)先生

司法書士。東京司法書士会所属、司法書士小脇事務所所長。個人からの依頼による相続や遺言の相談をはじめ、不動産登記・商業登記や債務整理から成年後見まで幅広い案件を担当している。

この記事は『毎日が発見』2017年9月号に掲載の情報です。
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