働き方改革では、多様な働き方を可能とし、格差をなくして社会の好循環を実現することなどを目指しています。しかし、「裁量労働制」問題が国会を騒がせたりと、なかなか一筋縄ではいかないことも。また、残業時間を減らすことだけに強くとらわれている感がありますが、「働き方」そのものは本当に改革されるのでしょうか。
マーケティングの実務家による国際組織MCEI(Marketing Communications Executives International)の東京支部は、その会員を対象に、「マーケティング実務家による『働き方改革』実感アンケート」を実施しました。その集計結果をもとに、働き方改革がどのくらい浸透してきたのか、そして今後どのように進展させたらよいのかなど、実態に迫ります。
残業時間は「20時間以下」がトップ! 改革の必要性を感じる3つの理由
Q.あなたの会社では働き方改革に何らかの取り組みがされていますか?
アンケートによると、「働き方改革に取り組んでいる」が65.3%で、「その予定」と回答した企業を含めると、全体の75%を占めており、企業にとって、この改革がとても重要な課題であると認識されています。また、働き方改革への取り組み目的は「長時間労働の是正」と回答した企業が最も多かった半面、「うまくいく」と感じている人は少ないようでした。
Q.あなたの月当りの平均残業時間はどのくらいですか ?
そして、回答者自身はどうかというと、月当たりの平均残業時間が「20時間以下」が4割近くでトップと、確実に残業時間は減っていると実感している人が多い様子。とはいえ、「まだ改革が必要」と感じているのが78%で、何を改革すべきか? については「会議のやり方」が46%、「業務改善/効率化」が44%と、この2項目がトップで並んでいます。
さらに、アンケート回答者は働き方改革に必要性を感じ、期待している人は多く、それは国策だからという理由だけでなく、次の3つの理由からそう感じているようです。
(1)グローバル化社会において国際競争で生き残るためには必須
(2)少子高齢化などによる労働力不足に対応するためには必須
(3)ライフスタイルの多様性を好む若年層の意識の変化から取り組まざるを得ない
働き方改革が着実に進展していくためには「新しい価値」を生み出すこと!
Q.あなたは「働き方改革」が1つのビジネステーマ・ 1つの市場として成長していくと思いますか?
アンケートでは、この働き方改革が単なるブームに留まらず、着実に進展していくためには、「新しい価値」を生み出していくことが必要と考えている人が多いこともわかりました。そのためには、複合的で多面的な取り組みが必要なこと、複数の企業や業種が連携して新たなソリューションを創造していくことがカギとなるというような意見も見られました。
国際組織MCEIは、これを「価値協創」というスローガンとして掲げ、働き方改革の活動方針としてゆくようです。高い期待値を集める働き方改革。世の中の価値観の変化に寄り添って、働き方も進化する段階にきているようです。
文/千葉洋一