できれば、介護を受ける必要なく生活を送りたい、ピンピンコロリで一生を終えたい。それは多くの人の願いではないでしょうか。
そのために、私たち自身で何ができるでしょう。実は、身近なところで介護予防のためのさまざまな取り組みがあります。その効果は、取り組みに参加する人の意識によっても変わってくるようです。
自治体ではどのような取り組みがあるか、東京都千代田区の地域包括支援センターでお話を伺いました。
目的意識を持つことが予防効果をアップさせます
介護保険事業には、介護を予防するための体操教室などを開催する「一般介護予防事業」があり、65歳以上の被保険者なら誰でも参加できます。その内容は市区町村により異なり、地域包括支援センターに相談すると目的に合ったものを案内してもらえます。
例えば、東京都千代田区では太極拳などの運動、歌声サロンなどのコーラス、絵手紙などのアート、認知症予防の絵本読み聞かせ、と多彩なプログラムを開催。
「面談を通して、その人に適したものをおすすめしています。例えば足腰が弱くなって...という相談なら、筋力を上げるトレーニングの教室を紹介するという形です」と千代田区麹町にある地域包括支援センターの担当者。
介護予防事業の内容は、各地域のニーズにより決まります。
「プログラムをスタートした10年前、千代田区では利用者に外出してもらい、人間関係を築いてもらうことが第一の目的でした。しかしいまは利用者層も世相も変わり、筋力アップ、認知症予防など目的を持ったプログラムが望まれています」
そういったプログラムを活用するときに、利用者にとっても"目的意識"が重要になってくると言います。
「プログラムに通うだけ、仲間と話すためだけでは予防の効果が得にくくなります。"自分の健康は自分で維持する"という意識を持つことが大切です」
理想は、自治体の教室だけに頼らず、各々が自分で、または仲間と体操などの活動を続けていくことだそう。
「例えば行政が主催する講座で体操を学び、仲間と体操を続ける取り組みをする。同好会を作る際に自治体に相談して初回に講師を招き、皆で学ぶこともできます。自発的に定期的に行っていけるといいですね」
取材・文/岸上佳緒里