あなたの親は大丈夫? セルフ・ネグレクトは早期発見が大切です

pixta_27815768_S.jpg「セルフ・ネグレクト」という言葉をご存じですか? 「自己放任」と訳され、2000年ごろから日本での研究が始まりました。生活において当然行うべき行為を自分の意思もしくは行う能力がないことから放置し、身を危険にさらす状態のことを指します。では、どうしてセルフ・ネグレクトに陥るのでしょう。予防法はあるのでしょうか。そこで、セルフ・ネグレクトについて研究されている東邦大学看護学部教授の岸 恵美子先生にお話を伺いました。

前の記事「「ゴミ屋敷」になるのはなぜ? 60代以上に多いセルフ・ネグレクト(2)」はこちら。

 

家族の"見守り"できていますか? 

セルフ・ネグレクトのサインとは

セルフ・ネグレクトに陥らないためには、早期発見が重要。別々に暮らす親は時々訪ねて変わりがないか確認することが大切です。でも、遠方でなかなか会いに行けない場合は、定期的に電話をしましょう。会話から異変のサインに気付くことがあります。

以前は帰省を楽しみにしてくれたのに電話で「帰ってこなくていい」と返答された、電話を早く切りたがった...。それはセルフ・ネグレクトの兆候かもしれません。
多くの場合は心配をかけたくないので真実を話さず、結果、家族を遠ざけようとします。家を訪問して、物が増えてないか、生活にこれまでと異なることがないかよく確認してみましょう。

また電話では、近所の人の話題が挙がるかにも注意を。「お隣さん元気?」と尋ね、「元気みたいよ」と適当に流されたら、具体的にどんな様子か聞きましょう。話が続かなかったら、周囲と交流が途絶えているのかもしれません。「ごみ出しは何曜日?」「町内会の行事に参加してる?」と尋ねるのも手。あいまいな回答が返ってきたら疑いましょう。
また日頃お付き合いのある近隣住民の方がいたら、異変の際は知らせてくれるようお願いしておくのもいいでしょう。

居住地域の自治体のサービスを確認しておくことも必要です。
例えば、民間企業と提携して見守りを行う自治体があります。
新聞販売店や運送業者などが新聞や郵便物がポストにたまっていないか、変な時間帯に出歩いていないか、などの異変に気付いたら役所に連絡してくれることになっています。他にも見守りサポーターやボランティアを養成している地域もあり、姿を見かけなくなった人がいたら訪問するなどしています。

家族だけでは限界があり、地域と協力して見守る時代になりました。日頃から皆で見守りを行い、異変を感じたら民生委員や地域包括支援センターに連絡しましょう。下記の「セルフ・ネグレクトのサイン」のように、洗濯物が何日も干しっ放しになっている、髪や服装に乱れがあるなどに当てはまっている場合、セルフ・ネグレクトの疑いがあると考えられます。

親が遠方に住んでいてすぐに訪問できない場合は、親の居住地域の地域包括支援センターに、「様子が変なので見てもらえませんか?」と遠慮せずに相談しましょう。

◆「セルフ・ネグレクトのサイン」※一例です
(対面での様子)
□無力感、諦め、投げやりな様子が見られる。
□やせてきたり、体調が悪そうに見える。
□ごみをうまく分別できなかったり、指定日にごみを出さなくなった。
□髪や服装に汚れや乱れがある。
□季節に合わない服を着ているときがある。
□薬を飲んでいないなど、治療を中断しているような言動がある
□暴言を吐く、無表情な顔つきなど、いままでと急に変わった様子がある

(家族やその周辺の様子)
□同じ洗濯物が干したままになっている。
□昼夜を問わず、室内の照明がついていない。
□郵便受けに郵便や新聞がたまっている。
□トイレ、台所、浴室など使えない場所や、中に入れない部屋がある。
□庭や家屋の手入れがされていない(門などを壊れたまま放置)。
□晴れた日でも雨戸やカーテンが閉まったままになっている。

(社会との交流の様子)
□近隣とのトラブルがある。
□地域の集まりや行事に急に参加しなくなった
□外出の頻度が急に減ってきた。
□いままで挨拶していたのに近隣しなくなったり、日常会話が減った
□買い物に行かなくなった。
□家にいることは確認できるが、返事がない、または電話に出ない。

 

取材・文/中沢文子 

<教えてくれた人>
岸 恵美子(きし・えみこ)先生
1960年東京都生まれ。看護師、保健師。東邦大学看護学部教授。自治体の保健師として16年間勤務していた経験から、生活に寄り添い、その人らしい生活が送れるように支援することを重視し、主に高齢者虐待、セルフ・ネグレクト、孤立死を研究。
この記事は『毎日が発見』2018年3月号に掲載の情報です。
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