賃上げ3%はどうなったの!? 景気好調でも賃上げしない企業の理由とは

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2018年初め、都内で開かれた経済3団体との賀詞交換会で、安倍首相は春闘での3%賃上げを要請しました。

結果、基本給のベースアップ(ベア)は前年越えが相次いだものの、定期昇給などを合わせた【賃上げ】で3%を超えた企業は少なかったようで、政府の要請は実現されなかったといえます。

現在日本は好景気だと言われているのに、なぜ賃上げの目標は達成されなかったのでしょう? それでも最終的に合意した労使双方の理由とは?

政府はなぜ毎年、春闘で賃上げを期待するのか

ここ数年、労使間交渉に政府が介入する「官製春闘」と批判されながらも、政府は春闘での賃上げ要請を続けています。その理由は、賃上げによるデフレ脱却をめざしているからと言われています。

デフレによる物価の下落で企業の収益が悪化すれば、賃金が削減されるだけでなく、雇用が減り失業者が増えることになります。そうなると消費が落ち込み、さらにデフレが進むという悪循環を引き起こします。それを防ぐために賃上げをして、緩やかなインフレに持っていこう、というのが政府の計画です。

給料が増えれば消費者はモノを買い、モノが売れる(需要が高まる)と企業は物価を上げられる、そうすれば利益が増えて従業員の賃金を上げることができる...という好循環が生まれます。ですから、その導火線となる賃上げは、政府の最重要目標となっているようです。

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賃上げよりも雇用優先?組合のジレンマとは?

ところが今年の春闘では、ベアは上昇したものの、賃上げについては3%未満で合意をした企業が大半を占めました。

会社側が賃上げを抑えたのには、「人件費以上に開発費や設備投資にお金が必要」との理由も。組合側も賃上げにこだわりすぎてリストラの危機を迎えるより、「雇用の維持」を最優先にしたいといった思惑があるようです。

双方の理由はもっともに思えますが、3%未満の賃上げ率では、物価の上昇ペースが賃上げを上回るとのこと。つまり実質的には、毎年【賃下げ】が続いているとの見方も。これではますます消費が促進されず、政府が期待する好循環とはなりません。

財務省のデータによれば、企業の内部留保は過去最高の406兆円に達しているそうです。今回の春闘でも企業側は慎重な姿勢を崩しませんが、もうそろそろ社員への還元に踏み切っても良いのではないでしょうか? 政府もこの現状を踏まえ、企業への要請だけではない、具体的な対策を講じて欲しいものですね。

文/長田 小猛

 

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