「10年前にがんで亡くなったオーストラリア人義父。義父にがんが発覚したころ、夫と私は離婚することになりました。大好きだった義父を置いて家で飛び出した私。その後、闘病中の義父は私を呼び寄せてくれ、ある優しい言葉をかけてくれたのです」

■今でも忘れられない。死の淵で義父と交わした「2つの約束」
自宅療養に切り替えた義父の家には、怖い顔で睨みつける義母が待ち構えていました。
「こんな時に家を出ていったなんて信じられない! お父さんがアナタと話したいというから...」
そう言って渋々部屋に私を通す義母。
義父は骨と皮にやせ細ってはいましたが、それでも懐かしい笑顔で両手を広げて私を迎えてくれました。
義母が紅茶でも、と立ち上がるのを私はやんわり断ったのですが、「自分も久しぶりに紅茶を飲みたい」と義母を促す義父。
2人きりになった隙に、義父が私に掛けてくれた言葉は信じられない内容でした。
「君は、今まで我慢してできなかったことを思い切りやりなさい。息子(旦那)には僕がちゃんと言って納得させるし、家族にも言って聞かせるから心配は要らない。ただ、2つのことだけ約束して欲しい。今回のことで、オーストラリアを嫌いにならないで欲しいんだ。それから、君のオーストラリアの家族とずっと縁を切らずにいて欲しい」
そうしてしっかり私を抱きしめてくれた義父は、その1カ月後、家族に見守られながら旅立ったと連絡がありました。
葬儀にもまた25時間かけて駆け付け、参列しました。
約束通り、今でも義母、義姉とは連絡を取り合っていて、私の大切な家族です。
最近、色んな事がうまく行かなくて自暴自棄になりがちだったのですが、10年という節目にあたり、あの時の義父のことを思い出しました。
命の灯が消えようとしているのに私の背中を押してくれた義父の気持ちを胸に、もうちょっと頑張ってみようかな、とウイスキーグラスを傾ける夜でした。
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