「新婚だった私たちが住んでいたマンションの大家さんは、毎年クリスマスイブにケーキを届けてくれました。その心遣いが嬉しくて...。今はもう引っ越しているのですが、今でもあの美味しいケーキを思い出します。先日、不動産会社さんと大家さんの話になったんです」

■思い出すのは美味しいケーキと大家さんの優しい笑顔
なんだろうと思って出ると、まさかの部長さん。
しかも、手にはホールケーキが入っているであろう箱を持っています。
「クリスマスですから...」といって差し出されたホールケーキ。
夫婦で「えぇー! ありがとうございます!」と驚きながらも感謝して受け取りました。
もし私たちが出かけていて不在だったら、このケーキはどうなっていたのだろう...なんて考えつつ、さっそくケーキをいただくことにしました。
ケースには賞味期限のシールなどもなく、どこのお店のものかも謎でした。
ですが、食べてみるとなんとも美味しいのです!
美味しい美味しいと食べつつ、さらに自分たちで用意したホールケーキもあったので、2つのケーキを食べるという豪華な夜でした。
予想外のプレゼントってとてもうれしいものなんだと感じました。
それから毎年、クリスマスイブは部長さんがくるかもしれないと思い、家でお祝いするようになりました。
そして、毎年部長さんは、サンタクロースのように必ずケーキを届けてくださいました。
こちらもお返しをしたりしましたが、部長さんがいらっしゃるのはクリスマスイブのみ。
普段の行き来はないので、つかず離れずでいい関係だなとしみじみ思っていました。
その家は5年住んで引っ越してしまったのですが、最近、なじみの不動産屋さんから、部長が病気で亡くなったことを聞きました。
ショックを受けながら、あのケーキがまた食べたいなと、大家さんの笑顔とともに思い出しました。
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