「書店で働いているのですが、オープン当初の店長は40代で物静か過ぎて、従業員とコミュニケーションが取れない困った人でした。同僚と『店長の資質ないんじゃない？』と冗談交じりで話していたほどです。そんな店長を交え、忘年会を開いたときの話なのですが...」
■飲み会の席での店長は...、えっ？ 本当に本人ですか!?
書店で働く51歳の私。
不祥事などのニュースを見ていると思い出すことがあります。
オープンから2年在籍した店長は、必要なこと以外話さない、とにかく大人しい性格で、時には大事なことすら話してくれなくて周りを困らせていました。
朝礼の時も、メモや書類を見ながらぼそぼそと話し、従業員とは会話もろくにしません。
休憩の入りや戻ってきたときに声をかけると、小さく返事をする以外ほとんど口をきいたことがありません。
そしてそのまま仕事を終え、店長が先に帰るシフトの日は「お先～」と帰っていき、私たちが先に帰るときは「お疲れ～」と声をかけられて終わりです。
冗談交じりに店長の資質が欠けていないかと話題になることもありました。
半年ほど経った頃、初めて従業員みんなで忘年会を開くことになりました。
当日のシフトの都合で出られない人もいましたが、15人ほどが出席して飲み会が開かれました。
店長は夕方までのシフトだったので、開催時間には到着しテーブルに着きました。
ビールやチューハイ、ウーロン茶などそれぞれ注文し、アルコールが苦手な人も料理を楽しみながら賑やかにしていると、「○○さんてさぁ、前も書店員だったっけ？」と、突然店長がそう声をかけてきました。
大袈裟ではなく初めて声をかけられたような気分でした。
「えっ？ あぁ、そうです。前も本屋で6年くらい」
ちょっと慌てて動揺した感じで答えました。
「だよね、動きがね、何かさぁ。経験者って感じでサクサクしてるよね」
店長のその言葉が衝撃的でした。
声をかけられたことも、そして日頃の仕事の様子を観察されていたことも驚きで、それを普通に伝えられたことも驚きでした。
もちろん、店長ですから普通のことなのだと思います。
ただ、一緒に仕事を始めて半年近くほとんど口をきいたことがなかったのですから、私だけでなく周りも一瞬こちらを見たのを感じました。
それくらいの驚きだったのです。
「○○さん、子どもさん幾つだっけ？」
「前はどんな仕事してたの？」
店長はそれから他の従業員にもフランクに話しかけ、出席した人たち全員と会話をしたことが後で分かりました。
翌日、午後のシフトで店長と一緒になったのですが...。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。
