「遠慮しないで~」訪問介護先で「善意」を受け取ったら...その後、私を襲った悲劇の展開<前編>

「介護ヘルパーとして、訪問介護を受け持っていたときの話です。訪問先では『出されたものはいただかない』のがルール。でも、私が来るのを楽しみにしてくれていることもあり、支障が出ない範囲でいただくこともありました。ある日、Aさんのお宅を訪問したときなのですが、私のために、『あるもの』を用意してくれていたのです...」

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■私の訪問を楽しみにしてくれる利用者。誕生日を祝うことも...

私は46歳のシングルマザーです。

19歳と14歳の息子、78歳の実父、72歳の実母の5人で暮らしています。

今から13年前、私がまだ夫と暮らしていたときのことです。

そのころ、パートに出て子どもを保育園に預けながら、介護ヘルパー2級の資格を取りました。

資格を取った後はスムーズに介護職に就き、最初の職場では訪問介護を受け持っていました。

そこでは一日に3件から4件のお宅を訪問し、それぞれの利用者さんに合わせた介護をしていました。

利用者さんは男性、女性、一人暮らし、家族と同居など、状況はさまざまです。

ですが、ほぼ全員に共通して言えることがありました。

それはみなさん心の奥底に寂しさを感じていたのではないかということです。

そう感じた理由は、私が担当していた利用者のほとんどが、私のようなヘルパーが来るのをとても楽しみに待っていたからです。

特に女性は、とにかく誰かとお話がしたいというような気持ちが伝わってきました。

そうしたとき、難しいのがお茶やお菓子を出された場合の態度です。

一日に何軒ものお宅にお邪魔するため、そんな暇がないという理由もありますが、ヘルパーは訪問先で出されたものはいただかないのがルールです。

ただ、出されたものを断ると不機嫌になったり、悲しんだりする利用者もいたため、当時、私がいた事業所では、業務に支障が出ない範囲でいただくこともありました。

ルール違反なのは分かっていますが、お年寄りの心のケアをするにあたり、できるだけ一緒に食べてあげたいよね、というのが上司の考えだったのです。

中には自分の誕生日を一緒に祝ってほしいと言って、ケーキを用意してくれていた方もいました。

たとえ自分のお腹がいっぱいでも、このようなときはさすがに断る気にはなれません。

身をもって孤独なお年寄りが多いと実感していました。

私が担当していたAさんもまた孤独なお年寄りの1人で、その日も私が訪問する時間を楽しみにして待ってくれていました。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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