「とにかくセコい私の父。できるだけお金を出したくないという人です。それは冠婚葬祭だろうが、お構いなし。お世話になった父の実の姉が亡くなったときも、弟の結婚が決まったときも、『父のセコさ』が発動して...」

■弟が結婚することに。父の第一声は...
あれは私の誕生日のことです。
お祝いをしてやると誘われ食事会に出向いたときのこと。
ひとしきり食事を楽しんだ後、父の前に伝票が。
しかし、父は一向に財布を出そうとはせず寝たふりを決め込みます。
見かねた夫が「私が...」と言いかけた途端、父はパチッと目覚め「ありがと~~~」と言いさっさと帰ってしまいました。
とても寝起きの老人とは思えない足取りで、私にお祝いの言葉を一つも伝えないまま。
あるいは、弟の結婚が決まったときもこうでした。
最初に口にした言葉は「おめでとう」でも「相手はどんな人だ?」でもなく...。
「家には金はない」だったんです。
結局、弟は結婚資金を全部自分で出しました。
でもその後...父はキャッシュで車を買っていたんです。3ナンバーのセダンの新車を。
そんなこんなを回想しながら、「虚しさ」でいっぱいになる私。
しかし、どんなに父がセコく生きたいとしても、叔母の通夜にも葬儀にも参列しないなんて、人として許されません。
とっても近しい親戚ですし、凄くお世話になった人なので、家族全員が最後のお別れをしたいと願っているのです。
しかしお金が絡むと父は一歩も引きません。
仕方ないので、「父を置いていくかな?」とも一瞬考えたのですが、そんな事をすれば後で何を言われるか分かったものではありません。
それに、娘としてはそんな父であっても最後のお別れをさせてあげたいと思ってしまいます。
何より参列しないなんて叔母さんとご家族に申し訳ないと思うのです。
仕方なく「お香典、私が出そうか?」と父に伝えたところ...父は再び泣きはじめ「オレも行く~~~」と号泣するのです。
...なんじゃそりゃ。
結局父のお香典を私が出すことで一件落着。
最後のお別れをすることができました。
父のあまりのセコさに娘としてモヤモヤが止まりませんが、こういう形の「親孝行もアリかな」と、自分に言い聞かせるしかない私なのでした。
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