「息子が幼稚園の頃、ママ友宅へ行ったときの話です。子ども同士で遊んでいたとき、ベネチアングラスを割ってしまったのです。『うちだけが悪いわけじゃないわよね』と思いつつも、謝罪。その後、深夜にママ友から届いたメールの内容に、もうあ然です...」

■「私も悪いし...」と言っていたママ友だったが...
空気で膨らませた風船をトスして、何回続けられるかという遊びが始まっていました。
「何で急に風船? これは危険な状況なのでは⁉」
頭の中でサイレンが鳴り響いたその瞬間、事故は起きてしまいました。
ふわりと横に逸れた風船がゆっくりとその思い出のベネチアングラスの先端をかすり、グラスはスローモーションのようにゆっくりとフローリングの床に倒れて落ちました。
ママ友が駆け寄り、状態を確認したところ、尖った先頭部分が折れていました。
子どもたちも状況を察して呆然としています。
私の頭の中は混乱したままでしたが、まずは謝罪をと思いました。
「ごめんなさい。思い出の品なのにどうしたらいいかしら...本当にごめんなさい」
少し沈黙が続いた後、ママ友が口を開きました。
「ウチの息子が風船を持ってきたのを止めなかった私も悪かったし...」
ママ友がそう言い、また私が謝り...を何度か繰り返し、その日は早々に帰ることにしました。
帰宅直後、当時はガラケーでしたがメールで再度謝罪を伝えましたが返信はありませんでした。
返信がないことに不安を覚えつつ、うちの子が一方的に悪いわけでもないけれど、壊れてしまったことは事実。
でも新婚旅行の思い出の品と同じものは手に入らないし、何か別の形で謝罪の気持ちを伝えるしか方法はありません。
せめて明日ママ友にもう一度直接謝り、何かできることはないか相談しよう、と考えながら眠りにつきました。
するとその夜の深夜1時過ぎ、ママ友からメールの着信が...。
「あれから折れた部分を眺めていたら悲しくてまだ涙が止まらないの。弁償してくれない?」
まさかの返事でした。
結局、完全に納得したわけではないけれど、損害保険に入っていたのでママ友の指定した金額で弁償することに。
その後もそのママ友は何事もなかったかのように接してきましたが、どうしても彼女に対する不信感が拭えませんでした。
私の心の狭さも反省すべき点なのですが、私からそのママ友とは距離を置き疎遠になっていきました。
16年以上たった今でも夜中のメール着信があるとドキッとします。
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