「あんたはいいわよね」がんの父を看病する私に言い放った母。私が心の中で「絶叫した言葉」<後編>

「感情の起伏の激しい母の怒りを買わぬよう、自分の気持ちを押し殺して生きてきました。父は優しい人で、母に対するモヤモヤする気持ちを共有出来る存在でした。そんな父が末期がんで倒れたのです。看病する私に母が言い放った言葉。それでも私は何も言えなくて...」

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■母を励ますつもりで話しかけると...

発覚したときにはもう手術もできない状態でした。

今は抗がん剤で治療を続けています。

母とは違い、これまで父にはコソッと本音を話したり、電話で「お母さんには内緒ね」と、互いにちょっぴり愚痴めいたことを話してみたり...と、母に対するモヤモヤした心情を共有できる仲間のような想いがありました。

そんな父をなんとか近くで看病したい...。

でも、私が住んでいるのは関東、実家は九州です。

まだ幼い子どもがいる私は、本来ならば簡単には帰省できる状況ではありません。

でも、居ても立ってもいられず、夫に頼み込み、時間を見つけては数日でも実家に帰り、父の治療に付き添ったり、母の代わりに家事を済ませたり、主治医の先生に今後の治療方針を相談したりと、出来る限りのことをするようになりました。

ですが...こんな状況でも母は母でした。

病床で治療に耐える父に対して、相変わらず些細な事で腹を立て、大声で怒鳴ったり、そのまま「もう離婚するから」と捨て台詞を吐いたり...。

母の言動や行動に口を挟むと余計に怒りが増すことが分かっているので、私は「お母さんも毎日看病で疲れてるよね、あまり手伝えなくて悪いね、ごめんね」などと声をかけ、母をとにかく穏やかな状態にしておくことしかできないのでした。

先日も、少しでも母を明るい気分にしたくて、「さっきお父さんが治療を頑張る、前向きな気持ちになってきたって言ってたよ、良かったね」と話しかけたのですが、返ってきた返事は...予想外でした。

「あんたはいいよね、お父さんの気分の浮き沈みに付き合わなくていいから。家に戻れば看病もない普通の生活でしょ。こっちはそうはいかないんだから」。

さすがにショックでした。

「もういい加減にして! どうして人の気持ちを分かってくれないの? 私だって毎日看病したいのに、家族にお願いして何とか帰省してるんだよ? もっと人の気持ちを考えて!」

そう言い返したくなりましたが、母をまた怒らせるとその矛先が父に向かってしまうので、いつものようにその感情を飲み込む自分がいました。

これからも父の闘病は続きます。

少しでもストレスなくゆったりした気持ちで過ごして欲しいと思っています。

そのために私が出来ることを模索しているところです。

この母へのストレスをどう消化したらいいのか分かりません。

こんな母親でも心底嫌いにはなれないのが辛いところなのです。

幼少からのモヤモヤを私はいつまで抱えていくのか...終わりが見えません。

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