「親が死んでよかったと思う日がくるなんて...」認知症の母を怒鳴り酒浸りの「父の最期」<後編>

「遠くに住む高齢の両親。母は認知症。家事も出来ず、気難しい父は、母に怒鳴る始末です。そんな父に手を焼いていた頃、父が急死して...」

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■認知症の母に用事を頼む父

母がまだそれほど認知症が進んでいない時に、自分で管理できなくなりそうだからと大きな額の預金通帳や保険証券などを預かっていました。

それを返せ返せと毎日電話で言われるようになりました。

でも返したら失くしてしまうのです。

すでに何度か再発行の手続きをとっています。

一時はすべて返して縁を切りたいとまで思ったこともありました。

親のお金なんて私には必要のないものです。

でも親の生活を支えていく大事なお金です。

介護をしていくなかで父は昼間からお酒を飲むようになり、アルコール依存症ではないかと思われることもありました。

電話をかけてきても何を言っているのかろれつが回らず、要領を得ないこともありました。

母は認知症で物忘れが激しく物をなくしてしまう、父は昼から酒浸り......。

判断のつかない親がそのまま通帳や保険証券などを持っていたら、恐ろしいことになってしまいます。

父は何度話してきかせても、母が認知症ということを理解できませんでした。

毎日同じというわけではなく、調子のいい日もたまにはあるので、そのときは昔にもどって母に用事を言いつけたりしました。

でも母は、言われたことをきちんとはもうできません。

それで、また父は激怒して大声で母を罵ったりするのでした。

そんな生活が数年続きました。

私達は何度も父にお母さんは病気なのだから怒ったりしてはいけないと言いましたが、そのたび「俺だってわかってる、だけど、同じこと何度も言って、何度も聞かれて腹立つんだ」と。

これから先どうしていったらいいんだろうと思っていたところに、父が急死しました。

正直ほっとしました。

母だけなら一緒に暮らすことも可能だし、施設にも入れると。

母の介護は続いていくけれど、ひどい娘ですが、こうなって心底良かったと思っています。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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