「50代の男性です。友人の母親にまつわる話です。幼い頃から最大の理解者だったはずの母親。しかし、その本心は違ったようです...」
■多感だったあの頃、いつも僕らの味方だった彼女
友人の母、Aさんに関する話です。
Aさんは、私たちが子どもの頃からPTAの役員や子育て相談員の仕事を精力的にこなし、近所でよく知られた人でした。
その友人宅に遊びに行くたびに優しく声をかけてくれ、私たちは自分の親や教師には相談できないことも、Aさんに心を開いて話したものでした。
高校、大学と進学し、就職してからも、Aさんは私たちの良き理解者で相談相手でした。
「学校の成績は単なる一面」
「決まったレールに沿って生きるだけが人生ではない」
「人と同じでいる必要なんかない」
包容力のある言葉に、何度元気づけられたか分かりません。
私は親と喧嘩するといつも「〇〇のお母さんはそんなこと言わない!」と、Aさんの台詞を引用して反論したものでした。
成績が落ちて両親から叱られたとき、私の長所を褒めて慰めてくれたのもAさんでした。
そうやって救われた仲間は私のみならず、同級生の多くが「あいつのお母さんはいいよな」と口々に話していたのです。
ところが、大人になった私が帰省して友人宅を訪れた日、そこには異様な雰囲気が漂っていました。
友人宅を訪れたと同時に、友人の妹と同い年くらいの男性が家から出て行きました。
どうも様子がおかしく、挨拶に出てきたAさんにも昔の明るさがありません。
いぶかしがりながら友人の部屋に入ると、彼は苦笑して「妹の結婚が破断になりそうだ」と言います。
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