「両親は兄夫婦と同居していました。義姉が『我が家の流儀』を母から仕込まれ、それなりにうまくやっていたのですが、兄の転勤で引っ越すことに。そこで、義姉の代わりに、おせち作りに私の妻が駆り出されることになりました」
■母のおせち作りの手伝いをすることになった妻
正月も迫ってきた年末、母(78歳)から電話が入りました。
「ああ、ひろし、お願いがあるんだけどね」
「どうしたの?」
「そろそろお節の支度を始めたいんだけど、今年は一人になっちゃったから手が足りなくて」
両親は兄夫婦(53歳と52歳)と同居していました。
義姉は専業主婦で、跡取り息子と一緒になったからにはと、母から我が家の流儀をいろいろと仕込まれていました。
ところが、兄に突然の地方転勤が命ぜられ、義姉もついていったため、「頼りの右腕」がいなくなってしまったわけです。
「ほんとに困ってるの、何とかゆう子さん(私の妻、50歳)をお借りできないかしら?」
「うーん、どうかなあ、ゆう子も仕事があるしさ」
「そう言わずに助けてちょうだいよ」
「まあ、分かったよ、帰ってきたら話してみる」
そう言って電話を切りました。
仕事から帰ってきた妻に相談してみました。
「えー? そういうのしなくていいのが良かったのに...」
専業主婦でやっていた義姉の代わりは荷が重いし、仕事が詰まってるので無理、と軽くいなされました。
日を改めて母に断りの電話。
「やっぱり無理だってさ。まあ、今年はおせちも外注してみたら?」
しかしそう伝えた途端、母が切れました。
「なに言ってんの! あんたが話すっていうから当てにして、もう材料もそろえちゃったんだよ」
「いや、だって、ゆう子がさ...」
「捨てろって言うの? 頼りにしてたんだよ!」
とにかくひどい癇癪でした。
やむなく妻を説得しました。
「まあ、義姉さんの代役は大変だと思うけど、ここは人助けだと思ってさ...」
「もう、やだなあ、今までお義姉さんに任せっぱなしにしてた負い目はあるけどさ...」
渋々休日だけという条件で引き受けてもらいました。
ところが...。
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