「ご近所さんに、なんとも不思議なお付き合いのおばさんがいるんです。その方とは10年前に、家族で引っ越してきてからのお付き合いになります。引っ越しのあいさつに行ったときから、もう、おばさんの『不思議さ』がさく裂していて...」
■会ったばかりで、「これくれない?」って...
10年前、現在住んでいる住宅地の一軒家に引っ越して来た時から、そのご近所さんとの付き合いが始まりました。
ご近所さんは現在60代半ばの一人暮らしの女性。
引っ越しのあいさつに伺ったときは、ニコニコ笑顔で穏やかな語り口の人で第一印象はとても良かったのですが、話してみてすぐにその評価は「あ、なんか困った人かもしれない」に変わりました。
なぜなら、引っ越しのあいさつが終わるや否や「おたく、庭にカエルの置物あるよね? あれカワイイよね、もらえないかな?」と、満面の笑みで言われたからです。
欲しいと言われた庭のカエルの置物は陶器製で、30センチくらいの大きな親ガエルが2匹と、5センチくらいの小さな子ガエルが3匹で、合計5匹。
ちょうどわが家の家族構成に見立てた数がありました。
実はこれは、引っ越し祝いに実家の父が趣味の盆栽と一緒に飾っていたものを「引っ越し先の庭に飾りなさい」と贈ってくれたもの。
自分で購入したものならあげても良かったのですが、父から贈られたものをあげてしまうのは抵抗があり「これは引っ越し祝いに実家の父から貰ったものなので、すみません」とやんわり断りました。
するとおばさんは諦める様子もなく、今度は、「じゃあ、玄関においてある花の鉢植えでも良いわ!」と言い出しました。
これでご近所付き合いがスムーズになれば良いかと思いあげることにしましたが、この判断は間違いだったとすぐに思い知らされることになりました。
鉢植えなら大丈夫だと思ったのか、おばさんは、その後も私が新しい鉢植えを置くたびに「これくれない?」と言って貰いに来るようになりました。
そこで考えた対抗策が地植えです。
鉢植えではなく花壇を作って地植えにすればまさか欲しいとは言わないだろうと思ったのです。
しかし、おばさんは諦める様子はなく、シャベルと植木鉢持参で、植えてある花も欲しいと言ってくようになりました。
「ああ、最初にきっぱり断ればよかった......」と後悔しましたが、後の祭りです。
いいかげんにどこかで線引きしなくてはと考えていた時のことです。
おばさん最大の「これくれない攻撃」が炸裂しました。
それには私もびっくりしてしまって...。
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