違法と知りながら...。引っ越しバイトの現場で見た、大手企業の「裏の顔」に愕然

「40代の女性です。いまほど『パワハラ』の認識がなかった20年以上前の話です。昔のこととはいえ、自分の引っ越しだったら...と思うとゾッとします」

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■ちょっと変わった引っ越しのバイト

これは私が大学生の頃、いまから20年以上前の話です。

当時、私は時給の高い引っ越しのアルバイトをはじめました。

いまはもうない会社ですが、この会社は少し特殊でした。

お客様はスポーツ選手や会社役員、会社の社長さんなど、いわゆる「お金持ち」に特化した会社だったのです。

バイトの流れは、引っ越しするお客様のご自宅付近に向かい、引っ越し会社の方と現地集合し、一緒に仕事を開始。

私たち数十名のスタッフの主な仕事は「高級食器」「高級な飾り物」「高級着物」など、とにかく「高級」な物の梱包ばかり。

「破損はご法度、丁寧に梱包してほしい」というお客様の依頼がある場合のみ、仕事がある形です。

高級食器などを汚さないように白手袋をはめて、梱包資材で丁寧に梱包、または引っ越し先で割れないように慎重に荷ほどきするのがメインの仕事でした。

大手引っ越し会社と一緒に仕事をしましたが、どの会社も当時はCMも多く流しており、誰もが知っている会社ばかりでした。

■新入社員にひどいイジメ。数年後には亡くなった人まで...

その中でもX社とは、一番多く一緒に仕事をしました。

ただし、X社はいまならすぐに問題になりそうなほど、若手社員へのイジメが日常茶飯事だったのです。

そのイジメは度を越していました。

例えば、新入社員の男性をダンボール箱に入れて、本人は「やめてくれ!」と必死に言っているのに、そのままトラックに積んでしまうのです。

しかも、他の社員もそのトラックの荷台に乗り、引っ越し先まで移動していました。

違法行為なのは彼らも分かっていたのですが、彼らは悪びれることもなく私たちにこう言ったのです。

「どうせ同じ所に行くんだから、荷物と一緒に乗って行けばいいのに」

もちろん、私たちは「別で行きますから」と断りました。

さらに、仕事中なのに「もう会社に戻って事務処理だけだから」と、ビールを飲んでいる人もいたそうです。

引っ越されるお客様の中には「お昼代にしてください」「今日はよろしくお願いしますね」と、チップをくださるお客様も時々いました。

でも、X社と一緒に仕事をすると、チップは彼らに独占されます。

その日に来たX社のリーダーがチップを受け取り、笑顔でお客様に「ありがとうございます。みんなでお昼ごはん、いただきます」と言って受け取るのですが、その後は「俺がリーダーだから俺のもの。分ける気はないからな!」がいつもでした。

でも、お客様は「みんなでお昼ご飯を食べた」と思っていらっしゃいます。

私たちも「お昼ごはん、ご馳走になりました、ありがとうございました」と言うように指示されていました。

そのため、モヤモヤしながらお礼を言うという理解しがたい慣習がありました。

「私たちに任せてください!」とニコニコしているCMを見るたびに、私は「実際は全然違うのに...」と複雑な気持ちでした。

そして数年後、その会社でのイジメのニュースを目にしたのです。

学生だった私は何も言えないままアルバイトを辞めましたが、あのとき本当に何もできなかったのかな...と複雑な気持ちです。

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