「40代の女性です。過去に大活躍した元スポーツ選手の友人。娘に無様な姿を見せてしまい、落ち込んでいるのを励まそうとしたら逆効果に...」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか？
■愚痴をこぼす、かつてのスター選手
私（47歳）には、元スポーツ選手のTさん（現在40代）という知り合いがいます。
彼は小学生の頃から頭角を現し、中学、高校になるとユースの日本代表として活躍するほどの実力者でした。
そのスポーツは当時マイナーでしたが、日本代表として海外遠征などへ行くようになると、地元では一目置かれる存在になっていました。
ただ有能な若手が育ってくると、Tさんは徐々に日本代表から遠のき、実業団に入る頃には「1人のスポーツ選手」的な位置づけになっていました。
Tさんは、30歳で現役を引退。
その後は所属していた実業団の親会社に転籍し、結婚して2人の娘さんがいます。
いまから5年ほど前、Tさんを含めた昔の仲間たち数人と集まる機会がありました。
当時の仲間たちはみんなもう家庭を持ったいい大人ですが、昔と変わらぬノリで楽しい時間を過ごしていました。
Tさんも飲み会ではノリがいいタイプでした。
しかしその日はお酒が入るにつれ、珍しく愚痴をこぼすように。
小学校高学年だったTさんの長女は、父親と同じスポーツに取り組んでいます。
Tさんは昔のチームメイトとたまに集まってプレーしているそうですが、その場へ長女を連れて行った際、大恥をかいたとのこと。
その日に限って調子が上がらず、ミスを連発し、娘に悲しい目をされたそうです。
そのことでかなり落ち込んでいました。
■かつての栄光が逆にプレッシャー⁉
そこで私はふと、自身の体験を思い出しました。
私の父（77歳）も学生時代にTさんと同じスポーツをしており、そこそこの結果を収める実力者でした。
実は、私の父はTさんの師匠です。
私も10歳くらいの頃に、父に仲間たちとプレーする場へ連れて行かれたことがあるのですが、そのときの父も調子が悪かったのか、年齢のせいなのかミスを連発。
その場面を思い出し、「そう言えばあのときは、めちゃくちゃガッカリしたな～」と、当時の素直な気持ちをTさんに伝えました。
するとTさんはダメ押しされたように、肩をがっくり落とし、本気でショックを受けていました。
私はお酒が入ると陽気になる性分のため、空気が読めていなかったようです。
笑い話で励ますつもりが、笑えない話になりました。
父親は娘に失望されると、こんなにも落ち込むものなのでしょうか。
Tさんの場合、過去の栄光があるだけに、娘にいい姿を見せられなかったのは人一倍キツかったのかも知れません。
余計なことを言ってしまったなと、少し反省しました。
同時に、私は当時、面と向かって父に「下手くそ」と言っていたので、父にも悪いことをしたなと反省。
そのとき父は、「悪かったな」と苦笑いしていたのを覚えています。
だけど私は、父が昔は有能な選手だったことを知っていましたし、決して見下してはいません。
父の実家へ帰ると、近所の方から「お父さんは昔すごい選手で～」などと聞かされ、誇らしく思っていたものです。
Tさんの娘さんだってきっと、周囲からいろいろと父親の話を聞かされているはずです。
私はそういった話も交えながら「娘さんはちゃんとお父さんを誇りに思っているよ」と、ビールをついで慰めましたが、うつろな瞳で頷くだけでした。
Tさんに申し訳なく思い、私の酔いはすっかり冷めていました。
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