「30代の女性です。昔ながらの古風な夫婦と思っていた祖父母。そんな祖父母のかわいらしい新婚時代のお話です」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?
■厳格な祖父と控えめな祖母の関係
6年前に他界した祖母、22年前に他界した祖父は、11歳も歳の離れた夫婦でした。
真面目で厳しくも優しい祖父が31歳、男性の3歩後ろを歩くような祖母が20歳の頃、職場での出会いをきっかけに結婚したそうです。
私が小さい頃から見てきた祖父母は、2人とも真面目で静か。
2人が会話しているときは必ず祖母は祖父に敬語を使い、言い争うことはないけれど、楽しくにぎやかに会話をしている印象もありませんでした。
私が高校生の頃に祖父が亡くなり、その後1人になった祖母が寂しいだろうと、定期的に会いに行くようにしました。
自然と小さい頃より話すことが増え、私が高校を卒業して社会人になってからは、それまでよりもいろいろな話をするようになりました。
祖母から聞く祖父の人物像は「職場では尊敬する上司だったこと」「昔から贅沢することなく慎ましく生活していたこと」「私が持っている祖父の印象と変わらない、とにかく真面目な人だったこと」などなど。
歳の離れた2人が、職場でどのように関係を築き結婚に至ったのかを聞いても、特に大きなドラマがあったわけでもない穏やかな話でした。
しかし、1つだけ祖母が思い出しながら思わず顔が緩んだ話がありました。
■初めて聞く祖父母のかわいらしい新婚の思い出
2人が結婚した頃は、女性は結婚したら仕事を辞めるのが当たり前の時代でした。
祖母も家庭に専念するために退職し、家を守るために家事全てを担い、地元新聞の家計相談コーナーに応募したときは、貯蓄が多すぎると指摘されたくらいの慎ましい生活をする毎日だったそうです。
ある日、祖母がいつものように掃除をしようと居間の机を見ると、「台所を見てみなさい」というメモがあったそうです。
台所を見ると「戸棚を見てみなさい」と。
そのようなメモが次々に出てきたそうです。
「タンスの中を見てみなさい」という最後の指示のもと、タンスを開けるとそこには封筒が置いてあったそうです。
封筒の中には「毎日暇をしているようですね。これで好きなものを買いなさい」という、丁寧な祖父の字で書かれた手紙と、お小遣いが入っていたそうです。
この話を聞いたのは、私が結婚して子どもが生まれたときでした。
それまで、祖父母のそんな思い出話を聞いたことはありませんでした。
私の知らない祖父のお茶目な一面、祖母への感謝や思いやりを感じるサプライズ。
それを思い出して思わず笑みをこぼす祖母。
この話がどんなに素敵なことかを私が理解できるまで、大切に心に閉まっておいてくれていたことに、とても心が温かくなりました。
結婚生活の中でときどき忘れてしまいそうな夫への思いやりを、このときの祖母の笑顔とともにたびたび思い出しています。
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