「皆さんの周りに時間にやたらと厳しい人っていませんか? 私(61歳・男性)の知るBさんもその1人なのですが、とにかく時間に厳しいです。でも、それにはある理由があったんです」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?
■日々の仕事を時間通りにこなすBさん。あだ名は「歩く時計」
私はある地方の町役場に勤めて40年近く、いまは再任用職員として旧職を続けています。
役場仕事といえばお堅いイメージですが、実際にはいろいろな人がいて、私も含めて結構ズボラな職員も多く、時間通りに会議が始まらないこともしばしばです。
しかし、そんな中で異彩を放つ人物がいます。
嘱託職員として長く教育委員会に勤めているBさん(60代)がその人です。
元は町の中学校に勤めていた方で、あの東日本大震災以降、にわかに高まった防災教育の先陣を切って実践を積み重ねていたそうです。
50代半ばに自己都合で退職されたそうですが、その防災教育の実践を認められて、町内の学校の防災について企画、運営する任に当たるため、嘱託職員として採用されたと聞いています。
このBさん、とんでもなく時間に厳しいことで知られ、私たちの役場内では「歩く時計」と呼んでいます。
出勤時刻はぴったり3分前、デスクに座って仕事を始め、10時ちょうどにお茶を飲むことまで決まっています。
「お昼、一緒にどうですか?」
12時少し前にフライング声をかけた同僚に「まだ2分前ですから」と、ピシャリと言い放ったエピソードは周囲にもよく知られています。
仕事柄、学校に出かけることも多いBさん。
所在確認のホワイトボードには「15時23分帰庁予定」と分単位で予定を書くそうです。
しかもこれを1分とずらしたことはないともっぱらの噂です。
まあ、これはちょっと大げさだと思いますが、ただ彼の行動を目安に「Bさんがお茶を飲んでるから15時だな。休憩にしようか」と、仕事の区切りを決める人がいるのも「歩く時計」と言われる理由です。
■Bさんが時間に厳しすぎる理由。聞いて思わず胸が痛み...
Bさんのエピソードには事欠きません。
ある学校に訪問するとき、予定外の道路工事か何かに出くわして、3分ほど予定時刻を遅れたことがあったそうです。
Bさんは時間に遅れたことを、周りがひくほど謝罪したのは言うまでもありません。
さらに、後日校長先生宛てに丁寧な詫び状が届き、そこには遅れた理由が細かく書かれ、今後そのようなことがないようにするための改善策まで述べられていたそうです。
また、年に3回ほど行われる各学校の防災担当者を集める会議でも、Bさんは逸話を残しています。
この会議は、常に定刻通りに行われるのですが、ある年の2月に行われた会議の日は大雪でした。
担当者たちはみな遅れて参集し、今日ばかりは定刻開始はあるまいと会議室に向かうと、なんとそこには開会の挨拶を述べるBさんの姿が!
「ああ、良かった。ちょうど挨拶が終わったところです。では議題についてですが...」
定刻通りに会議を始めることを重んじ、1人でも会議を進めていたという伝説的なエピソードです。
どうしてそんなに時間に厳しいのか。
とある人が聞いたとき、Bさんはこう答えたそうです。
「大震災で義両親を亡くしました。避難の準備をしていなかったので、ゆっくりと荷物をまとめていたら津波にさらわれてしまったんです」
「防災教育は日常性、緊急性が何よりも大切だと思い知らされました。防災では1分遅れれば死者が出ることもある、常に時間を惜しむことを肝に銘じているんです」
このように矜持を示されたBさんをこれ以降、変人と思う人はいなくなりました。
ちなみに、Bさんは今日も3分前に出勤していました。
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