「あなたの腕に抱かれたい」夫もいるのに高校の同級生に会いに行った母が「浮かない顔で帰ってきた理由」

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:みわちゃん
性別:女性
年齢:62
プロフィール:猪突猛進の常識知らずの母には振り回されました。

「あなたの腕に抱かれたい」夫もいるのに高校の同級生に会いに行った母が「浮かない顔で帰ってきた理由」 15.jpg

今から30年ほど前、母の恋愛(?)の話です。

当時、パソコンが我が家にやってきました。

大きなデスクトップ型のものでした。

母(当時50代)がパソコンができるようになりたいと言うので、ブラインドタッチから私が教えることになりました。

母は初めてパソコンを触るのですから、教える私としては果てしなく忍耐のいる作業でした。

毎日毎日、時間をかけて練習した結果、ついに母はブラインドタッチができるようになり、どうやらキーボードを打つことが楽しくなったようです。

早速メールを始めました。

もちろん、メールアドレスを作って、送信などの手順をすべて私が教えたうえでのことです。

母は何人かの友人とメールを始めたのですが、しばらくして早朝や深夜にこそこそ送信するようになったのです。

相手は東京に住んでいる大学の男性教授で、母の高校時代の同級生でした。

私も知っている人ですが、「なんだか感じが悪いな」と思っていた人です。

そして、メールを書いているうちに、母は空想の恋愛世界に没入していってしまいました。

家では1つのパソコンを共有していて、現在のように個人のパスワードも管理していませんでしたから、私は母のメールを閲覧できたのです。

母の文章は日ごとにエスカレートし、ついには「あなたの腕に抱かれたい」という文章が目に入ってきました!

何これ! とあまりの展開に驚き、母は何を言い出すのかとあきれました。

ついに母は「私、東京に行ってくる」と言い出しました。

私が「それって 〇〇さんに会いにいくの?」と聞くと、なぜ私が知っているのかと母は驚いていましたが、それでも「行かせてよ」と一言...。

我が家の一大事、大騒動です。

こんなに立派な夫(父)がいるのに何でそんなことをするの? と止めましたが、ついに娘の制止を振り切り、母は意気揚々と出かけてしまいました。

ですが、その日のうちに母は浮かない顔をして帰ってきたのです。

聞いたところ、渋谷のハチ公で待ち合わせし、まずはランチをしたのだそうです。

雰囲気も何もない普通の喫茶店での普通の食事にがっかり。

しかも支払いはまさかの割り勘。

「あの人、ケチ」と愚痴る母。

一緒にいることさえ嫌で早々に帰って来たようです。

どんな紳士を想像していたか知りませんが、無残にも空想の恋愛世界は一瞬にして消え去ったようです。

でも、そもそもそんな話を私にする? とモヤモヤ。

私は「馬鹿じゃない...?」と返して、もうため息も出ませんでした。

父にこの件を知られなかったことだけが救いです。

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