「あなたの家に行ってもいいですか?」旅先でツアーガイドに無茶なお願いをしてみたら...

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:みわちゃん
性別:女性
年齢:61
プロフィール:現地の言葉は話せなくてもなんとかなるさ、世界のあちらこちらをフリーの旅をしてきました。

「あなたの家に行ってもいいですか?」旅先でツアーガイドに無茶なお願いをしてみたら... 5.jpg

「ねぇ、一緒にハンガリーに行ってみない?」

音楽の講師をしていた私(当時41歳)は、先輩の講師(当時46歳)に学校で声をかけられました。

オリジナリティ豊かで、唯一無二のとても面白い授業をされる先生でした。

2週間の日程でチェコとハンガリーを訪ねるフリープランの旅行。

空港からホテルまでは通訳の人がつきますが、あとは自由です。

彼女となら面白いだろうと、一緒に行くことにしました。

ハンガリーに入国してホテルに着いたとき、ハンガリー人の通訳の人(40代ぐらい)から「何かご希望はありますか?」と聞かれました。

すると、その先輩は「私はハンガリーの方々の暮らしぶりが知りたいので、あなたの家に行ってもいいでしょうか?」と、いきなり無謀とも思えるお願いをしました。

日頃、先輩は後輩に対しても礼儀正しく、そんな無茶ぶりをするような人ではありません。

しかし、興味を持つと貪欲なほどに勉強をする方なので、無理を承知でお願いしてみようと思ったのでしょう。

もちろん通訳の方が対応する必要はありませんし、断られて当然の相談です。

通訳の人はさすがにうろたえましたが、笑顔で「分かりました。ぜひいらしてください」と言ってくれました。

翌日、図々しくも私たち2人は、いただいた地図を片手に通訳の方の家に伺いました。

通訳さんはなんと食事まで用意してくれていて、心づくしの歓待をしてくれたのです。

肉料理から魚料理、デザートまでハンガリー独特の香辛料が使われた料理が並んでいました。

どれだけの時間を使って作ってくれたのかと思うと、胸がつまる思いでした。

「おいしいですか?」と聞かれ、「とってもおいしいですよ~。ありがとうございます」と、笑顔で感謝し、話が弾みました。

トイレを使わせてもらうと、トイレの内扉に「あいうえお、かきくけこ...」というひらがなの表が貼ってありました。

その頃のハンガリーは、英語もあまり通用しませんでした。

有名なハンバーガー店はありましたが、注文するのに英語が通用せず、指でさしながら頼むレベルです。

そんな中、英語を勉強し、当時増え始めていた日本人旅行者の通訳になったあの通訳さんは、日々たゆまぬ努力をされているのだなと心を打たれました。

帰国後、お礼に日本語とハンガリー語の辞書を送りました。

そしてそれから今に至るまで、ずーっと手紙での交流が続いています。

先輩が作ってくれた大切なご縁です。

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