<この体験記を書いた人>
ペンネーム:トリコ
性別:女性
年齢:49
プロフィール:夫(51歳)のW不倫が原因で別居中のアラフィフです。映画に読書に食べ歩きにと一人暮らしを満喫中。
2020年に満77歳で亡くなった義母は、買い物が好きな反面、物を捨てられずに溜め込んでしまう困ったところがありました。
夫の実家へ行って遺品整理をしていたときも、クローゼットや押し入れの中からまだ数回しか袖を通していないと思われるセーターやコートが続々...。
ほかにも流行遅れのスーツやバッグ、アクセサリーなどが山ほど出てきました。
生前は、私にも気前よく洋服やバッグをプレゼントしてくれた義母でしたが、たまに「これ、いらんな」と思う古着を押し付けてくることがありました。
当時、良い妻を演じていた私は、正直に「いらない」と言うと嫁姑の関係にヒビが入ると思い、その場はとりあえず受け取って、あとは押し入れの肥やしにしたり、義母が忘れた頃に処分したりしていました。
そんな私でも、さすがにもらうのをためらった古着があります。
それは、義母が20代の頃に着ていたショッキングピンクのコートでした。
鏡の前で「似合うわよ」と勧められるも、コートを羽織った私はまるでどこかの漫才師。
受け取るにしても、冬物のコートはかさばります。
「お義母さんみたいにスリムじゃないからちょっとサイズが小さいかも」
とかなんとか誉め言葉を駆使して、いただくのを断った覚えがあります。
しかし、義母は私より一枚上手でした。
今度は、当時保育園に通っていた息子(現在22歳)にズボンを穿かせていました。
くすんだ色のズボンだなと思っていたら、なんとそれは夫(現在51歳)が子ども時代に着ていた、裾が大きく広がったパンタロン。
当時、大流行したアイドルグループのファッションを真似て買ったものらしく、夫も気に入っていたそうな...。
そうなんです、義母は自分の服だけでなく家族の服も捨てられず、何十年もの間、押し入れに保管していたのです。
思い出の詰まった服を孫に着せて喜んでいる義母に「いりません」とはさすがに言えず、防虫剤と昭和の匂いがするパンタロンを渋々受け取るハメになりました。
そんな思い出を振り返りつつ遺品整理を続けていたら、押し入れの奥から色褪せた包装紙にくるまった箱がいくつか出てきました。
開封されてはいるものの、中味は入ったままでした。
中身を確かめたところ、コアラ柄のタオルハンカチや観光地の名前が入った扇子、貝殻の形をしたイヤリングなどが出てきました。
見るからに安っぽく、お世辞にもセンスが良いとは言えません。
「こんなもの押し付けられなくて良かった」と胸を撫でおろした瞬間、いやいや違う!と思ったのです。
その理由は、それらのタオルハンカチや扇子、イヤリングに見覚えがあったから。
どこで見たのか...生前、義母から見せられたのか...でも、こんな趣味の悪いものを見せられたらもっと鮮明に覚えているはず...。
必死に記憶を辿った結果、私は品々のことを思い出してめまいがしました。
なんとそれらは、私が旅行へ行った際に買った義母へのおみやげでした。
私が義母からのいただき物を押入れの肥やしにしていたように、義母も私があげたものを捨てられず、そうかと言って使う気にもなれず、目につかない場所にしまい込んでいたのでした。
自分ばかりが迷惑を被った気になっていましたが、義母も私に気を遣っていたのです。
センスの悪いプレゼントでごめん、お義母さん...。
人間関係はお互いさま、そう気づかされた出来事でした。
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