＜この体験記を書いた人＞
ペンネーム：ころん
性別：女性
年齢：53
プロフィール：気温差に弱いのでかなりヨレヨレ。ひっそりとマイペースにソロ活満喫中。
20年前に勤めていた会社の話です。
そのころ私は30代で、派遣社員3年目。
社員と同じような仕事を任され、新人教育も業務の一環でした。
マスコミ関係の会社で、とても自由で私も楽しく働いていましたが、ある時に20代中頃の「見た目はギャルだけど意外と真面目そう」な子が新人として入ってきました。
以前はネイリストだったそうで、PCが全く使えず「びっくりの『っ』はどうやって打つんですかぁ？」というレベルで、うーん、そこからか...気長にいくか...と私も腹を括りました。
そんなある日、彼女から「愛犬の体調が悪いから休む」と言われました。
ちょっとだけモヤッと複雑な気持ちでしたが、まぁ家族だしね、と了承してその日は私一人で仕事の対応をしました。
翌日、不安そうな彼女が出勤してきて「ダメかもしれないんです、目が離せなくて」と。
私はただ「ツラいけど来てくれたんだね」としか言えなくて...。
でも、出社した彼女はほとんど仕事にならず、ずっと私用メールと私用電話。
私がここで怒るのも鬼だよなと悩んでいたところ、とうとう泣き崩れ、お家で亡くなったと連絡があったと教えてくれました。
いや、分かる、気持ちはとっても分かるけど、周りには状況を知らないみんながいます。
しかも、上席も見える場所で派手に泣くのはやめて～！ と思いながら早退させたのですが、当然ながら遠くから見ていた上席から呼ばれ「何があった？」と聞かれました。
非常に言いにくかったものの、家族と言ってしまうともっと話が大きくなるので仕方がなく「彼女の愛犬が...」と説明しました。
上司も肩透かしをくらったような表情で「いや、すごいクレームに当たったのかと思ったよ」とだけ言って怒りはしませんでしたが、複雑な空気が流れました。
彼女はその次の日も休みました。
その翌日、出勤してきた彼女にこちらの事情も説明しなくてはと「上席に呼ばれて聞かれたから正直に話したよ」と言ったところ、「ひどい！ 家族がって言ってくれればいいのに！」と噛みつかれてしまいました。
ですが、さすがに私も「そうだね、ごめんね」とは言えず、イライラを抑えて言ってしまいました。
「あのね、こういう大きい会社で○○さんの家族が～ってなったら、それなりの対応をしてくれるの。総務が動いてくれたりね。ふーんじゃ済まないの！」
会社のルールを説明しましたが、納得してないようでふくれっ面でした。
彼女だけでなく「ペットの具合が悪いので休む」という人には何回か遭遇しました。
ペットは飼ったことがありませんが、心配なのは私でも分かります。
真剣に悩んで普通はどうするべきなのかインターネットで調べてみると、「有給を使う」前提で、「社内の全員に理解してもらえないことは覚悟する」と追記してありました。
この子の場合、シフト制だったので、シフトを決める立場の私にも関わってきます。
「うーん...シフトがだいぶ崩れるな」と少し複雑でした。
今は彼女も40代かな、社会のルールを分かってくれたでしょうか？ たまに思い出します。
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