<この体験記を書いた人>
ペンネーム:さくらみちこ
性別:女性
年齢:55
プロフィール:2017年5月、私50歳、娘23歳、上の孫が6歳の時、体調不良すら悪くない...そんなふうに感じられる出来事がありました。(娘は結婚も出産も早かったのです)
私は季節の変わり目がとにかく苦手です。
虚弱体質と持病の影響で、この時期は必ず体調を崩します。
体の痛みも、用事やお出掛けが満足にできないことにもストレスを感じます。
特にこの年は最悪。
インフルエンザの罹患という不運も重なって、体調不良がとても長引いてしまい、大好きなお花見に行くことができませんでした。
桜は毎年咲いてくれますので「来年行こう」と諦めればいいのですが、このときはそんな気持ちになれませんでした。
桜の花が一番好き。
そして、お花見は家族全員が楽しみにしている恒例の行事なのです。
桜の季節が訪れると、頭の中で「今年もいつも通り。家族全員で近所のお山に向かい、桜の木の下でお弁当を食べ、まったり過ごすんだ~」と妄想を抱きます。
それなのに、このときは体調不良のせいで中止になってしまったのです。
残念な気持ちでいっぱいでした。
その後のとある日。
とても嬉しい出来事がありました。
「お花屋さんに行ってくる」と告げた私に「私も行く!」と張り切って伝えてくる上の孫。
「お花を買いに行くだけだけどいい?」と伝えると、「うん、大丈夫」との返事が返ってきました。
それならばと2人で出かけたのです。
お花屋さんに着くとすぐにキョロキョロし始める上の孫。
「お花好きだもんね~」と見守っていると、「これがいい」と孫がある方向を指さしたのです。
そこにはレース風の白い花に、ピンクの可愛い小花をあしらったブーケがありました。
孫は躊躇なくそれを選んだのですが、「これはちょっと...」と心の中でつぶやく私。
というのが、実はこのとき欲しかったのは仏花。
孫の選んだ花束は仏花のイメージに合いません。
そのことをやんわりと伝えたのですが、「絶対にこれがいい!」と一歩も譲らない孫。
そこで「こんな感じがいいんだよね~」と、菊の一束を指さしました。
すると、「これじゃない。今日はこっちがいいの」と言うのです。
続けて「だって、このお花はお山の桜の代わりだよ。お山の桜をばあばにプレゼントしたいの」と言うではないですか。
どうやら孫は、お花見に行けなかった私に、桜の花をプレゼントしたくて一緒にお花屋さんについてきたようなのです。
孫の思いを知ってなんだか胸がジーンとなりました。
結局、目的の花と孫の選んだ花束の両方を買って帰りました。
帰宅後、孫の母である娘にこの出来事を話したところ、「あの子、ばあばがお花見に行けなかったことをすごく気にしてたからね。きっと、ずっと何かしたいって思ってたんだよ」と教えてくれたのでした。
このことを聞き、すぐに孫の元に向かい「ホントに今日はありがとね」と言いながらギュッと抱きしめたのです。
こうしてこの年の残念な思いは、幼い孫のやさしさで嬉しい思い出として上書きされたのでした。
孫が選んでくれたのはシレネというお花。
桜ではありません。
この日以来、私の一番好きな花は桜からシレネに変わったのでした。
そしてこの日、記念に撮った写真は今でも私の大切な宝物となっています。
人気記事:《漫画》「命を削ってでも孫の面倒を見る!」弟の妻が亡くなり80歳両親が「子育て」に奮闘!?<前編>
人気記事:《漫画》「マスクちょうだい」と厚かましい友だちが毎日娘につきまとう! え、親も共犯!?<前編>
人気記事:うちの車は姑のタクシーじゃない!夫が姑と交わしていた「ありえない約束」《かづ》
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。