<この体験記を書いた人>
ペンネーム:文月奈津
性別:女性
年齢:65
プロフィール:この前、花屋さんでジューンブライドという名に魅かれ、ピンクのアジサイを買いました。
今から11年前の2011年、54歳の私は悩んでいました。
2年半働いてきた生命保険会社のグループ会社でのアフターサービスの仕事が終了することになったからです。
会社からはコールセンターへのお誘いがありました。
でも、担当していたお客様たちに「何かありましたら駆けつけます」と初対面でお話しした手前、仕事を続けたいと思っていたのです。
そんな思いを打ち明けた同僚からある人を紹介されました。
その人・Yさんは、別の支店の所長をしていました。
私は膝が悪いので自転車で行ける近くの営業所で働きたいと思っていたのですが、「何も心配せずに来てね」と熱心に営業職員になることを勧めてくれるYさんを信じて、Yさんの所属する支店に行くことにしました。
勤め始めてすぐ、第一印象と違うYさんに戸惑いました。
Yさんは気分にむらがあり、ときどき理不尽な怒り方をするのです。
さらにびっくりする事件が起こったのは、1カ月の研修期間がもうすぐ終わろうとしていた頃でした。
私はアフターサービスをしていたときのお客様の何人かを引き続き担当できることになっており、その中の1人から医療保険に加入したいとのお話をいただいていました。
契約のために伺うことになったのですが、その当日、Yさんから言われました。
「あなたは研修中だから、契約をとってもあなたの成績にならない。〇〇支店の成績にもならなくて、宙に浮くだけになる。私が担当するわ」
研修をしてくれた講師から「これからの契約はあなたたちの成績になる」と聞いていたので、Yさんの言っていることは変です。
しかし、いくらそのことを言ってもYさんは引き下がりません。
時間がないので、上司であるYさんに従うしかありませんでした。
そしてなんと、契約をしたいと相談してきた奥さんの分だけでなく、もともとあったご主人の契約もYさんの担当になることがあとで分かりました。
若いご夫婦を担当すると、これから先も新たな契約をいただける可能性があります。
つまり、Yさんは私から契約を横取りしたのでした。
その後も私の抗議を聞き流し、さらに私が担当している別のお客様のアフターサービスにも同行してきました。
Yさんがお客様にした契約内容の説明に間違いがあり、何年も仕事をしてきたのにありえないとビックリしていたら、いきなりお客様の前で「○○様、これからは○○様のご契約は私が担当します」と言い出しました。
私はとっさに声が出ませんでした。
しかし、お客様が「奈津さんは、私の質問にいつも丁寧に答えてくれています。担当者は奈津さんでお願いします」と言ってくれて、ほっとしました。
ただ、この1件だけでなく、別のお宅でも同じことをするYさん。
男性のお客様は「奈津さんにお願いしていますから結構です」ときっぱり断ってくれました。
要するにYさんは、私の契約がほしくて誘っただけだったのです。
一連の出来事を研修でお世話になった講師に相談しました。
「前から部下の契約をとってしまう噂があったわ。今度から同行させないで、一人で行きなさい」
そう言ってもらい、ほっとしました。
後日、事務所で遅くまで仕事をしていた私に、他の課の先輩が声を掛けてくれました。
「利用されないように気をつけなさい。成績が足りなくて辞めなくてはならなくなっても、部下を助けない人なのだから」
別の先輩はこうも言っていました。
「Yさんは管理職になっていた時期があって、管理職は顧客を抱えられないから0になったはずなのに、数年で支店トップの顧客を持っているなんてありえないでしょ。あの人には気をつけなさいよ」
同じ課の先輩も私と同じ思いをしていることが分かり、励ましあいながら1年間働きました。
退職する話をしたときに、私を惜しんでくれるお客様も数人いて申し訳ない思いでいっぱいでしたが、Yさんの下で働けないと思ったのでした。
Y さんとはその後、一度も会っていません。
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