怒った父が灰皿を投げ母の額に...暴れん坊だけど家族思いだった父との思い出

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ちーさん
性別:女性
年齢:63
プロフィール:現在は62歳の夫と二人暮らしの会社員の主婦です。

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7年前に84歳で亡くなった父は、昭和の頑固おやじみたいな人で、1970年代の人気ドラマに登場するお父さんみたいな人でした。

ドラマのお父さんは短気ですぐに大声を上げる人ですが、人情味があり、優しいところもたくさんある人でした。

私の父も同様で、気に入らないことがあると大声を出し、物を投げては母や私たち子どもを困らせてばかり。

家族はいつもビクビクしていました。

父はアルコールが入ると激変するタイプで、普段は静かな人なのに気が大きくなり大声を話したり、急に怒り出したり...。

ドラマでは、お父さんがちゃぶ台をひっくり返すことが話題になりましたが、父も同じようなことをしていました。

アルコールが入っていないときは、子どもたちと一緒に遊んでくれる優しい父で、春には山菜採り、夏は海遊びに、家族でお弁当を持って行ったことを思い出します。

休日は家族で食事に出かけることもあったのですが...。

現在92歳の母の額には、父が怒ったときに投げたガラスの灰皿が当たってできた傷跡が残っています。

母の額の傷を見ると7年前に亡くなった父のことを思い出していましたが、父が灰皿を投げるほど怒った原因はなんだったのか知りませんでした。

数日前、母を膝の治療のために病院に連れて行くときに「昔の話だけど、お父さんはどうして灰皿を投げてお母さんのおでこにぶつけたの?」と聞きました。

92歳でも昔のことはよく覚えていて、原因は私だったんだよ、と教えてくれました。

私は結婚後、実家の近くに住んでいましたが、結婚して10年ぐらい過ぎた頃に、元同僚の男性が私の住んでいたアパートや実家周辺をうろつくようになりました。

父は私がその男性と不倫関係にあると思い込み、アルコールが入ったときに怒って投げた灰皿が運悪く母に当たってしまったというのです。

つまり、母に向かって投げたわけではなかったことになります。

うろついていた男性は私に好意を持っていたようですが、それ以上のことは何もなく、はっきりと止めてほしいと伝えたところ、二度と現れませんでした。

父はうろついていた男性と私の関係を疑い、子どもがいた私の家庭が壊れることを恐れたのかもしれません。

原因を知った今、これまでと違って少し複雑な気持ちです。

アルコールが入ると思い込みが激しくなる父は、私のことを心配して悩んでいて、それが原因で暴れてしまったのですから。

暴れん坊だけど、家族思いだった父との思い出です。

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