<この体験記を書いた人>
ペンネーム:文月奈津
性別:女性
年齢:65
プロフィール:この前、花屋さんでジューンブライドという名に魅かれ、ピンクのアジサイを買いました。
朝、次男(31歳)の椅子の上にカーキグレーの見慣れぬトートバックが置かれていました。
「また、買い物をしたんだ。お給料をもらったら、すぐ貯金をして残ったお金で生活しなさいって何度も言っているのに」
そんなことを思いつつよく見ると、デニム地のバッグにはシルバーのキーと金具がついていてなかなかステキです。
「よく見るといいバッグだね。洋服に合わせやすいかも」
そう言うと、次男はうれしそうにバッグの説明を始めました。
それを聞きながら私は、1週間前にした次男との会話を思い出しました。
「U君のおかあさんが、『次男君はきっときれいな子が好きなんだよ』って言っていたよ。あなた、きれいな子がいいと思っているわけ?」
昔のママ友との会話がきっかけで、次男に好みの女性について聞いてみました。
「容姿じゃないよ。服の趣味というか、感覚が似ている子がいいんだよ」
次男の好みが「服の趣味が合う子」と聞いて私はショックを受けました。
ますます縁遠く感じたからです。
次男はまあまあのイケメンで、ほんのたまにですが、「モテるでしょ」と言ってくれる人もいます。
でも、今まで彼女がいたことがありません。
高校は男子より女子が2倍も多いクラスでした。
彼女ができそうなものだと思っていましたが、縁がなかったようです。
次男のモテ期は幼稚園。
今とは全く異なり、かわいかったので女の子にモテていました。
私なりの分析だと、運動が苦手で走るのが遅かったこと、コミュニケーションが苦手で自分に自信がないこと、それが彼女ができなかった原因でしょうか。
しかし、社会人になって紆余曲折はありましたが、アパレル関係の仕事についてからずいぶん変わったと感じます。
職場で信頼されて仕事もいろいろと任されているらしく、自分の仕事にプライドと熱意をもって取り組んでいるようです。
友人もたくさんできましたが、どうも男性ばかり。
「洋服の趣味や感覚が合う人」なんているのでしょうか。
実は2021年、女性とのお付き合いに消極的な次男を心配して、友人のお母さんが仕事関係で知り合った女性を紹介してくれたことがありました。
とても人柄の良いお嬢さんで、次男より2つ上の会社員でした。
次男の小学校の恩師も彼女のことを知っていて、「いいお嬢さん」と言っていたそう。
ところが、次男は写真を見ただけで断ったというのです。
写真は、彼女が京都旅行の際に太秦にあるテーマパークで撮ったもの。
彼女は時代劇のお姫様の格好をしていたそうです。
写真を見るなり、次男は「こいつ、絶対やばい奴だ」と言って、会いもしないで断ったとか。
ちなみに次男からこの話については一切聞いておらず、「きれいな子が好き」説を唱えていたU君のお母さんがこっそり教えてくれたもの。
よさそうなお話だったのに、私は本当にがっかりしました。
私も65歳。
夫は69歳になりました。
長寿社会になっていますが、いつどうなるかは分からない年齢です。
孫の顔を見せてとは言いませんが、せめて伴侶を見つけて安心させてほしいのです。
次男が小学生の頃、ときどき国語の教科書に載っていた詩を読んでいました。
1本の縄が校庭で誰かを待っている...というものだったと記憶しています。
当時、友人とうまく付き合えなかった次男の孤独な姿がこの縄と重なり、なんだか悲しくなってしまいます。
次男、誰かを待っているだけではだめだよ。
洋服の趣味より、気持ちが通じて一緒にいると楽しい人がいいんじゃない?
金のわらじはないけれど、母は次男のために動きます。
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