<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ぴち
性別:男性
年齢:52
プロフィール:自分の中のこだわり、他人も同じように思ってくれるとは限りません。
今から12年前、私が40歳のときの事です。
当時私の勤める職場で、公休日を利用して、有志でバーベキューをしようという話になりました。
老若男女、合わせて20名ほどの集まりになり、予想していたよりも多くのスタッフが集まってくれることになりました。
当日、お昼少し前から集合し、火を起こすなど分担して準備を進めていきます。
アウトドアに精通している人はいませんでしたが、各々が自分にできることを協力しあいながら準備を進める光景が、私は大好きでした。
食材の準備も終わり、どんどんお肉や野菜を焼いていきます。
みんなビールやチューハイ、お酒の飲めない人はウーロン茶など、思い思いの飲み物を片手に盛り上がっています。
私は缶ビール片手に、焼き担当としてその任務を遂行していました。
楽しく騒いでいるスタッフ数名が私にビールのおかわりを持ってきてくれて、ご褒美に、とくれた焼きたてのウインナーを頬張っていたとき、5歳年下の女性スタッフがカメラを手にこちらへ寄ってきました。
「さぁ、みなさん! 一枚撮りますよぉ~!」
その掛け声に全員がピースサインでポーズを作ると、その女性スタッフが声を上げました。
「ピースサインなんて普通すぎ! ダメダメ!」
痛烈なダメ出しの後、すったもんだした結果、全員が彼女の指示通りのポーズを取ることになりました。
実は、彼女は以前から写真が趣味で、趣味が高じてポージングや構図にとても造詣が深いのだそうです。
自分の気に入った構図に仕上げ、ベストショットを撮るまでは、誰も箸をつけられなくなってしまいました。
さっきも写真撮ったじゃない、と意見しても、本人のこだわりが強すぎて、それ以上の言葉をかけることができません。
最初は笑顔で付き合っていた人たちも、次第に面倒に感じたようでした。
こだわりを持つことは良いことですが、それを他人に押し付けてはいけませんよね。
不穏な空気になったもののなんとか立て直し、楽しい休日をみんなで過ごすことができました。
後日、そのカメラ女子が撮った写真が公開されました。
私たちが表情をこわばらせながらポーズを取った一枚、まるでレストランかと思わせるほど、美しい盛り付けをされた料理。
そして、私たちの誰も気づかなかった、いつのまにか撮られていたスナップショット。
参加した人たち全員が、生き生きとした表情で写真に写っていました。
当日のウザさを帳消しにする素晴らしい写真、そのうちの一枚は今でも私のアルバムに収まっています。
これだけすごい写真を撮れるなら、多少面倒な思いをさせられてもいいのかな...みなさんはどう思いますか?
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