<この体験記を書いた人>
ペンネーム:GoldenFish
性別:女性
年齢:49
プロフィール:夫の実家は車で30分くらいのところにあります。昨年義父がなくなりました。
2020年に数年前から認知症になっていた義父が他界しました。
義実家には精神的に不安定な50歳近い兄がいるため、申し訳ないのですが足が遠のいていました。
認知症といっても義父の場合は同じ話を何回もするのと、物忘れが多くなった程度で、私たちの名前を忘れてしまうようなことはありません。
しかし、自宅で介護を受けている間、義母(80代)に対しては若かった頃の荒い性格が出ていたようです。
義父はもともと短気な人でしたが、体も痛いところが出てきたり、自分が思うようにできなかったりするイライラを、義母にぶつけていたんです。
義父が亡くなったとき、義母が「あまり悲しいと思えない」とポツリと言った一言が忘れられません。
喧嘩をしながらも割と仲のいい夫婦だったと思うのですが、認知症の夫の面倒を見るのは、本当に大変だったようです。
義父は病院で亡くなったため、義実家に運ばなくてはいけません。
葬儀屋さんには頼んでいたのですが、あいにくその時間に車の手配ができなかったので、義父の亡骸は夫の車で病院から義実家まで運びました。
その車は、結婚当時に購入するお金が足りないだろうからと、義父の援助を受けて購入したものです。
朝まで病院で安置してもらうこともできましたが、夫に義父は家に帰りたいだろうから車に乗せて家に連れて行こうと私は提案しました。
孫のことは本当にかわいがってくれたので、娘たちはとても悲しんでいました。
みんなで義父を車から家の中に運んでいると、義母が布団を敷いて待ってました。
でも、シーツの下にビニールを敷いた方がいいのではないかと思い、義母に何か敷くものを持ってきてもらったのですが、ビニールから異臭が漂ってきました。
義姉は「違うのはないの?」と怒っていました。
いろいろと義父には迷惑をかけられた義姉ですが、短気ではあるけれど家族のために一生懸命やってくれた父の亡骸を、もっと大切にしたかったのだと思います。
義母はそういうところにあまり気を使えない人なので、「こんなときまで!」と余計に腹が立ったのかもしれません。
その後、なぜそのシートが臭かったのか義母が私に話してくれました。
義父が亡くなる前、義母の部屋からトイレに行くのに義父が寝ている部屋を通る必要がありました。
トイレが近くなった義母がちょくちょくトイレに起きるたび、義父が眠れなくなり怒鳴ったそうです。
仕方がないので義母は部屋にシートを敷いてその上にバケツを置き、夜はそこに用を足していたそうで...。
子どもたちが義母の部屋が尿臭くてびっくりしたと言っていたのですが、匂いはそのせいだったのです。
その他にも、義父がうるさく言うのでガス代をかけないため、お風呂も1週間に一度しか入らないとか、驚くような話を聞きました。
年をとって異常なまでに節約家になる人はたまに聞きます。
頑固だけど気前のよかった義父の変わりように驚きつつ、そんな状況に耐えていた義母を不憫に感じ、「悲しいと思えない」と義母が呟いた一言の重みを感じました。
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