<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ぴち
性別:男性
年齢:52
プロフィール:関東在住。転職経験豊富な52歳です。
17年ほど前のことです。
小さなスーパーの店長をしていた私(当時35歳)の携帯電話が鳴りました。
電話の主は母(当時56歳)で、電話の内容は母の姉、つまり私の伯母が亡くなったということでした。
この連絡をもらった日は、小売業にとっては一年で最も忙しい年末、12月30日。
母の話によると、異例ではあるが亡くなった当日である今日30日に通夜を行い、翌日31日の大みそかに告別式を行うとのことでした。
この時期、私の仕事がとても忙しいことを母は知っていましたが、長男として私に参列してほしいと告げました。
伯母は母より6歳年上です。
母のように身の回りの世話をしてくれた、とても大好きなお姉ちゃんなんだ、と聞いたことがありました。
そんな大好きなお姉ちゃんの最後の顔を見たときに、落ち着いていられない、だから忙しいのに申し訳ないが一緒に来てほしい、母はそう言いました。
母は通夜に参列するべく、私たちの住む都心部から伯母のいる北陸へと先に向かいました。
私は明日早朝に出発し、告別式に参列することとなりました。
母との電話を終え、早速休みを取るため本部に電話をかけると、電話に出たのはいつも私に冷たい態度を取るN部長でした。
かつてN部長が担当していた赤字店舗を私が黒字化したことがあり、その頃からN部長は私に対して、なにかと冷たい態度を取るようになったのです。
この日も電話に出たときの声のトーンは明るかったのに、私が名乗った途端、面倒くさいと思っているのが見え見えの低いトーンで「あぁ、君か。何?」と言ってきました。
切り出しにくいのですが、言わないわけにはいきません。
N部長に事の次第を話し、お休みをいただきたい旨を伝えたのですが...。
「は? 何言ってんの? 休めるわけないでしょ?」
「君、何年この業界にいるの? そんな葬式より、お店の方が大切だってことぐらい分かってるよねぇ」
「それでも休むって言うのなら自分で全部段取りしてね。代わりの人は誰も出さないから」
N部長は私に一方的にまくし立て、私が言い返す隙を与えず電話を切りました。
何ともいえない気持ちを抑え、私はお店の各スタッフに指示を出しました。
そして、明朝の早い時間に北陸へと出発し、告別式が終わってすぐに都心部にもどり、夕方には店に出るという強行軍で告別式に参加したのです。
そのため、伯母の骨の一つ拾うこともできませんでした。
「身内の葬儀にすら出させてもらえない、そんな情けない話があるのか」
そういった母は、2〜3日北陸でゆっくりして気持ちを落ち着けてから帰ると言い、やるせない思いでいっぱいになりました。
後から知ったのですが、N部長は31日から1月5日までしっかりと休暇を取ったそうです。
我慢してきた思いが抑えきれなくなった私は、その後、N部長とのやり取りの全てを社長に話し、同時に退職の意を伝え、2カ月後に退職しました。
もしもあのとき、N部長ではない誰かが電話に出てくれていれば、母にも情けない思いをさせずに済んだのになぁ。
あれから何年もたったのに、そんなことをたまに思い出してしまいます。
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