「田舎の墓に入りたくない!」義母の一言から始まった我が家の墓狂想曲

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ペンネーム:フカユキ
性別:女
年齢:50
プロフィール:3年前に夫が他界。田舎の墓では格好つかないと、見栄っ張りの義母が資料請求し続け、未だに墓のDMが来ます。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

今、我が家には義父と夫の遺骨があります。こう書くと罰当たりな、と眉をひそめる方もいらっしゃるかもしれませんが、特に障りも祟りめいたことも起こらず、朝に2人が好きだったコーヒーを淹れて、お線香をあげて、挨拶を欠かさないでおります。

義母の話では、田舎に行けば立派なお墓があるらしいのですが、いかんせんそこまで行くのには電車バスを乗り継いだだけでは足りず、車を出して貰わなければ辿りつけないということです。もともと足が悪い義母は「そんな所に入れてしまったら、会いに行けないわ」と持論を振りかざして、そのお墓に入れることを猛反発していました。

そんな義母でしたが、2年前の5月の連休に突然肺炎になり、お医者様から「ここ2、3日が峠です」と言われるほど深刻な状況になったのです。程なく体調は回復して、退院できたのですが、それからというもの「私は田舎の墓に入りたくはない。なんとか東京で墓地を見つけておかなければ、死んでも死にきれない」と始まって、一ヶ月の固定電話代が1万円を超えてしまうほど、ありとあらゆる墓地や霊園に問い合わせを繰り返していました。

少しでも言葉を差し挟もうものなら「あなたが墓を見つけてくれるの? そんな甲斐性もないのに邪魔しないでちょうだい」とものすごい剣幕で怒鳴り散らす有様でした。そんなことが続いて「しょうがない、好きにさせよう」と思っていた矢先に、いつになくご機嫌な義母が私にパンフレットを見せてきたのです。

義母が選んだのは、小田急線沿線にある、お寺が運営する屋内墓苑でした。パンフレットを見る限りは、由緒あるお寺が仏壇販売会社に販売委託をしているものです。場所も駅から6分で、義母の希望通り23区内にある墓苑でした。

永代使用料は80万円。23区内に墓苑があるということを考えたら相当安いとは思いますが、それでも80万円は大金です。「お義母さん、お金はどうするんですか?」と聞いたところ、なんと申請の承認に半年かかって、夫の死後に遅れに遅れて入って来る予定になっていた夫の障害年金をあてる気でいたのです。

夫が亡くなった直後には、墓のハの字も口に出すこともなかったのに、いざ自分が死にそうになって初めて、自分の最終的に落ち着く所がないことに気づいて、慌てていることは明らかでした。「あの子も、こういう形で使うなら喜ぶと思うのよね」と義母はあくまでも夫のためのような言い方をしていましたが、どこまでも自分が可愛い人なんだなと、驚くよりも呆れ返り、それ以上の話はしないで終わりました。

結局、夫の障害年金分で墓苑を購入しましたが、それから2年経っても相変わらずなんやかんやと理由をつけてお骨を収めることもなく、空のまま維持管理費だけを支払っています。一体何のために?という気持ちにもなりますが、これで義母の心の平安が保たれたのかもしれないと、前向きに考えて納得するようにしています。

そして私は義母を反面教師として、自分は人に迷惑をかけずに終活し、散骨してもらい墓には入らずに最後を迎えるようにしたいと切実に思っています。時間にしたら2~3ヶ月間のことですが、本当に毎日毎日、墓々言われ続けて、一生分の墓にまつわる話をした気がしてなりません。ちなみにいまだに墓のDMが来ます。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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