親の老いを実感。立ち上がれないほど衰弱していた父に茫然

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ペンネーム:向日葵
性別:女
年齢:50
プロフィール:最近、70代の両親の老いを実感することが多い、3人の子ども&脳梗塞の夫と暮らす、ワーキングマザーです。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

私もいよいよ、50代の仲間入りをしました。私が年取れば、親も年を取るのは自然の摂理。でも、会うたびに白髪が増えた、背中が丸くなったなどと感じながらも、私の中ではいつまでも変わらずに元気で頼りになる親だったのです。

特に私の父は、大型トラックの長距離運転手をして、母と私と弟を養ってくれた元気印の人。仕事をリタイアした73歳になる現在も、変わらず元気いっぱいでした。

そんな父の老いを実感する出来事のきっかけになったのは、父の兄や姉の相次ぐ他界です。

 

父は、4人の姉と3人の兄を持つ末っ子。長兄は10年ほど前にすでに他界していましたが、それ以外の兄弟は皆近隣に住んでいて日常的に親しくしていました。それが1年半ほどの間に2人の兄と1人の姉、合わせて3人が病により相次いで亡くなってしまったのです。

私にとっても、子どものころからかわいがってくれた大好きな伯父や伯母が亡くなったのですから、ショックでしたし悲しかったのですが、葬儀に出席する父の落胆ぶりは娘の私から見ても心配になるほどでした。

 

あれは、父がいちばん懇意にしていたすぐ上の兄が亡くなってから1カ月ほど経ったときのこと。落ち込んでいた父のことは気になってはいたのですが、仕事と脳梗塞を患う夫のリハビリ通院、まだ12歳の末息子の学校行事などもあり、なかなか様子を見にいくことができずにいました。そんな中、夜勤の仕事に行く前に睡眠を取っていた午後の3時くらいに、父の携帯電話から私のスマートフォンに着信がありました。この時間帯に私が寝ていることを知っている父から電話がかかってくるのは初めてのことです。何事だろうと驚いて電話に出ると、風邪をひいたのかしわがれたひどくか細い声で父が「元気か?」と、一言。元気かと問うその声のあまりの生気のなさに、思わず私は息をのみました。

「お父ちゃんは元気なの?声、ガラガラだけど、風邪ひいた?」私が問うと、父の答えは「ここ1週間ばかり熱が高くて食べられないんだ」というもの。病院に行ったのか確かめると行っていないとの返事。70歳になる母も車の運転はできるのですが、父は仕事をしていたころ掛かりつけだった車で1時間半ほどかかる個人病院へ行きたかったようで、母に長時間の運転をさせたくないため、病院にいけないまま1週間が経過。いよいよ症状が悪化してどうしようもなくて私に電話してきたのです。

 

これはそうとう具合が悪いのだろうと思った私は飛び起きて、車で1時間の距離にある実家に車を走らせました。そして実家で目にしたのは、こたつの座椅子に腰かけたまま、一人では立ち上がることもままならないほどに衰弱した父の姿。

肝が冷えるとともに、なぜこんなになるまで連絡してこなかったのかその理由に思い至り、思わず涙がこぼれそうになりました。

父は、脳梗塞で倒れた夫の代わりに家族を養うため、睡眠時間もままならない多忙な生活を送る私を思いやって、電話してこなかったのです。

時計を見れば、午後の4時。今からなら、父の掛かりつけの病院の診療時間に間に合います。「お父ちゃん、今から病院に行こう!」私は、衰弱しきった父と、心配してオロオロする母を乗せて、病院へ向かいました。

 

レントゲンや血液検査を行った結果、幸い父は風邪とのことで点滴と投薬、そして栄養のある食事を取った結果、少しずつ回復することができました。ホッと一安心したものの、今回のことでは、父の老いを改めて実感しました。親にはいつまでも元気でいて欲しい。けれど、老いは確実に進んでいく。これからさらに老いていく親にどう接していくのか、改めて真剣に考えていこうと思っています。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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