性別:女
年齢:55
プロフィール:55歳独身です。父の妹である叔母は、なんと6,000万円位の遺産を残して、6年前79歳で他界しました。それが身内のトラブルを引き起こす原因になってしまったのです。
※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。
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叔母は、生前は貯金が趣味みたいなもので、お金を使うことに抵抗を持つ人でした。結局、お金を使う楽しさも知らず、6000万円近くの貯蓄を残し79歳で他界。叔母は結婚していなかったので子供もいません。叔母には3人の兄がいましたが、すでに皆亡くなっているので、身内といったら私達9人の甥と姪だけでした。
そこで、私達9人の甥と姪が叔母の残した遺産を相続することになりましたが、これが身内のトラブルの幕開けとなったのです。
叔母の3人の兄は、長男には子供が6人、次男は結婚前に戦死、私の父である三男には、私を含め3人の子供がいます。叔母の自宅と私の自宅は40㎞位離れていましたので、なかなか会う機会もありませんでした。叔母が亡くなる5年前のこと、アルツハイマー型認知症の診断で叔母は施設に入所することになりました。その間、叔母の近所に住む、叔母の長兄の長男である甥と、長女の姪(私にとっては二人ともいとこにあたります)が面倒を見ることになりました。それが、そもそものトラブルの原因になったのです。
叔母が施設に入所している間は、私と母は、遠いながらも年に5回から10回位叔母に会いに行っていました。叔母が入所してすぐの時、私は、叔母から貯金通帳をすべて預かりましたが、施設の支払いや生活の必要なお世話などが遠方のため困難な事から、いとこたち(といっても、長男は私より22歳年上、長女は私より24歳年上です)を信頼して叔母の年金が振り込まれる口座の通帳を預けていました。
しかし、いとこたちは、叔母の施設にもそれ程行っていないだけでなく、私達に何の連絡もなく、公証役場に頼み公正証書の手続きをとったり、叔母の自宅内で無断でものを探したりしました。それだけでなく、叔母の100万円残金のあった年金の通帳のお金を使い放題していたのです。そして叔母は、だんだんと認知症の症状が進み、亡くなる1年位には、とうとう誰だかの認識も出来なくなりました。
3月に叔母が亡くなった後、葬儀は、私の母と9人の甥姪で済ませ、叔母の骨とお位牌は母と私が引取り、供養をすることになりました。なぜなら、私の父は三男でしたが、家の跡取りになっていたので、仏壇はうちにあったし、先祖の供養は母と私で行っているからです。叔母の初盆を済ませようやく落ち着いた頃、突然、件のいとこから行政書士を通し、叔母の遺産を9等分で分けてくれとの書状が届きました。驚いて自分の兄と姉と話し合って、司法書士の先生に相談したところ、「遺産分割は法律的には、長男叔父方と私の父方で等分し、その等分された分をそれぞれ子供の人数で割った金額が1人の相続する額である」とのこと。ゆえに相手方のいとこの言い分の9等分は法律的には成立しないと教えてもらいました。そこで、法律上の分配で相続したい趣旨の文書を相手方の行政書士宛てに返信しました。
それから3カ月後、再度行政書士から手紙があり、今回の案件は管轄外のことなのでこの件から引きますとの返事がありました。そこで、解決のため私の方から裁判所に行って調停の手続きを取りました。私の要求は、遺産は法律通りの分配と、叔母のためにつかわれなかった叔母の財産の返金でした。
叔母が他界した翌年の1月に1回目の調停が行われました。事前に相手方の行政書士から届いた書類の中に、叔母の全財産の目録があったのですが、その中に私が知らない通帳の存在があったので、事前に銀行にその詳細を取り寄せていました。その中には、叔母が亡くなる半年前に保険が満期になったため、その一部の100万円が叔母の通帳に入金されていたのです。ところが、いとこ達はその金額を隠蔽し、自分の通帳に入金していました。
いとこ達は知らぬ存ぜぬ。調停員が中に立ち、お互いの言い分の調整を始めたのですが、2回目の調停の時に、相手方は弁護士を立てました。そうすると、調停員は、早くこの件を解決したかったのか、「隠蔽した分に関してはこの調停では関係ない、分配方法を話し合うところだ」と相手方に味方しているかのような話しぶりになりました。そこで、私も4回目の調停から弁護士を立てました。すると、調停員は一転、私の弁護士の手前、中立な対応に変わりました。
さらに、いとこが隠蔽して手にした年金保険について、保険会社に連絡したりして内容を調べたところ、本来、満期になった時、死亡受取人を叔母が指名しなければならなかったのですが、叔母の承諾なしに受取人にいとこが自分の名前を書いて保険会社に提出していたため、叔母の死亡後700万円を受け取っていたのです。このことも調停中に判明しました。
約2年間続いた調停は破談に終わり、結局私が訴える形で裁判になりました。論争は、使途不明金の返金と相手方が不正に受け取ったすべての年金保険金の返金です。相手方は、「叔母が自分に受取人を指名してくれたので、代わりに書いただけだ」と言い張ります。しかし、叔母はかなりの認知症が進んでいたので、判断能力がなかったのは言うまでもありません。
裁判になり3年目、今年の3月には、叔母の7回忌の法要をしました。まだ決着はついていませんが、恐らく今年の終わりに結果は出ることでしょう。
お金が欲しくない人間はいないと思います。しかし、叔母が残したお金は、もともとは叔母のもの。叔母が生きている間に、叔母のためにつかわれなければならないものでした。しかし、相手方が叔母の医療に関する保護者になっていたため、私たちは、いい施設に入れてあげる事もできませんでした。それが無念で仕方ありません。
身内で争う事は本当に悲しい事です。私は、勝ち負けよりも、彼らがウソまで付いて自分たちのためにお金をつかってきたことや保険の不正受取の反省を求め裁判をしました。
こんなトラブルを起こさないためにも、しっかりとしているうちに遺言状を残しておくことが一番大切だと思いました。
私は、叔母が残してくれた遺産は、叔母の供養のために、新しい仏壇やお墓の購入につかわせてもらおうと思っています。
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