「私が息子を出産したときの暴言は忘れることができません。あれから20年以上が経って息子も成人。離婚について考える日々です」
■子が成人した今、夫婦関係について考え直したい
何ごとかと思ったら、夫の視線の先には尿道の管に繋がった畜尿パックがありました。
そして、パックの中にはいつの間にか、琥珀色の液体が溜まっていたのです。
確かに汚いものですが、これから初めての出産を帝王切開で迎える妻に向かって「ばっちぃ」とはデリカシーがなさすぎやしないかと、ずいぶんショックを受けました。
手術前で緊張状態にあった私は、興奮して泣きじゃくりました。
そして、術後はしばらく起き上がれないこと、トイレにも行けないから我慢して管を通していること、初めての経験ばかりで不安なことなどを涙ながらに訴えました。
尋常ではない私の怒りにふれて、夫もさすがに悪いと思ったようです。
「俺も出産や帝王切開のことはよくわからなくて悪かったよ...」
悪気なく言葉を発することはあるものの、根は優しい人なのだ。
あの頃はそう思っていました。
いよいよ手術が始まる間際、いくぶん落ち着きを取り戻した私に、夫が書店の紙袋を差し出しました。
命名辞典か何かだろうか。
そう思って中を開けると、出てきたのは『0歳からの英才教育』とタイトルのついた育児雑誌でした。
「俺、ホントに出産や育児のことは分からないからさ、これを読んで退院するまでに勉強しておいて」
おいおい、おまえは勉強しなくていいのか!? 育児に協力する気はさらさらないのか!?
他人ごとのように話す夫に呆れてしまい、私の心の声が言葉になることはありませんでした。
あれから20年以上の歳月が流れ、帝王切開で生まれた息子は成人式を終え、親の助けなど要らないくらい頼もしく成長しています。
そろそろデリカシーのない夫を捨てようかな。
そう考える今日この頃です。
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