「父の家事の負担を減らそうと学校帰りにお惣菜を買ってバスに乗った私。しかし、その匂いに腹を立てた他の乗客に怒鳴られてしまいました...」
■男性がいなくなっても恥ずかしい気持ちは消えず...
男性がバスを降りてからも私の恥ずかしさは消えませんでした。
思春期真っただ中の私は男性がいなくなったあとも気持ちが晴れることはなく、自宅の近くのバス停よりもいくつか前でバスを降りました。
悔しい気持ちと何とも言えない悲しい気持ちを抱え、とぼとぼと歩いて帰りました。
家に着く頃にはすっかり暗くなり、もともと冷たかったお惣菜がさらに冷たくなったように感じました。
家に到着し、「おかえり」と笑顔で迎えてくれた父の顔をみたときには、安堵で涙があふれました。
その後、母の体調は回復し、いつも通りの生活に戻りましたが、同じバスに乗るたびにあの男性とそのときの恥ずかしい気持ちを思い出し、しばらくモヤモヤした気持ちが消えませんでした。
最近電車のなかで、某ファストフードの紙袋を申し訳なさそうに持っている若者を見かけました。
私は「あの日」の自分を思い出し、「大丈夫、気にしないで」という気持ちを込め、その若者にあたたかい眼差しを送り続けました。
しかし、よく考えてみると、見ず知らずのオバサンから得体の知れない憂いを帯びたまなざしを送られたら、それはそれで気持ち悪かっただろうなと、あとから反省しました...。
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