「貧乏だから浪人はだめ」、「私立大も無理」、「塾へ行く余裕なんてないからね」などの言葉で、私は受験生の息子を追い詰めてしまいました。
迫りくる大学入試に、ものすごいプレッシャーを抱えていたと思います。
一時は勉強するのをやめて、寝てばかりいました。
この子、どうなっちゃうんだろう?と心配で心配で仕方なかったです。
【前回】「母さんは俺の悪い所ばかり見る」私は毒親だった? 大切な息子に言ってしまった「最低な言葉」/chii
大学入試直前の12月末には、またやる気スイッチが入って再び猛勉強を始めた息子。
年が明けてのセンター試験へ緊張して出かけようとしていた息子に、もう「頑張れ」という言葉さえかけてはいけない空気を感じました。
案の定、彼は青い顔をして帰宅。
相当、緊張したらしいです。
試験会場では、緊張で体調を崩して吐いている学生もいたそう。
それほど本番のセンター試験会場は空気が張り詰めていたのだと思います。
「どうだった?」と聞いてしまった私。
私に心配かけないように「まぁまぁできたよ」の返答がかえってきましたが、彼の顔を見れば、できなかったことは一目瞭然でした。
青白い顔をして、目はうつろ、疲れてきっていました。
私立大は一つも受験しないことを決めていたので、センター試験の結果次第で志望大学を決めます。
迷いながらもランクを落とさずに志望していた国立大学を受験することにしたのですが、もうその時点で、彼は「浪人させてくれ」と懇願してきました。
本番の試験はこれからなのに? 後期だってあるからと、私はあきらめずにいました。
私がどうしても浪人はだめだと言ったのには理由がありました。
モラハラDV夫が大学入試で一年浪人していたのです。
私立大は一つ合格していたものの、もう一つランクが上の大学に進みたいからと浪人を決めました。
そして高い学費を払って予備校に入学。
田舎から都会の予備校まで通い、半年もしないうちに都会の誘惑に負けてしまったそうです。
勉強を投げ出し遊んでばかりいたので、一年後は全落ちしたと聞いています。
遊んでいたのを知っていた夫の両親は、さすがに二浪を許さず、結局彼は専門学校に入学。
そこで税理士になるべく頑張ったらしいけれど、何回受けても税理士になる試験には合格できなかったそうです。
夫は大きな挫折を味わい、あの時の経験が自分の人生を狂わせてしまったと、よく話していました。
私は、息子が夫と同じ道を歩むのではないか? と心配していたのです。
2月の後半、本番の大学受験が迫ってきているのに息子は勉強をやめてしまいました。
もうあきらめているようでした。
その時に、私はすごく後悔しました。
なんで、塾へ行かせてあげなかったのか。
なぜ、私立大の受験をすすめなかったのか。
すべてお金のためです。
貧困の連鎖を防ぐために大学進学を決めたのに、やっぱりこの世の中、お金がないと幸せになれないの? とさえ思いました。
彼を追い詰めてしまったのは私だけど、本番試験の2日前にはまた暴れました。
苦しかったのだと思います。どうにかして逃げ出したかったのだと思います。
そしてまた「何で俺を産んだんだ?」と私を責めました。
私も、もう苦しすぎて、母親やめたいって思いました。
それでも、なんとか2月末の本番である試験に臨んだ息子ですが、帰宅してすぐに「俺、浪人するから」と浪人宣言したのです。
それを聞いて、私は絶望の中にいました。
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