認知症の85歳父。頻尿の悩みは受け入れるしかないのかと諦観

認知症の85歳父。頻尿の悩みは受け入れるしかないのかと諦観 20-pixta_28224340_S.jpg

ペンネーム:ふぉるてぴあの
性別:女性
年齢:54歳
プロフィール:要介護1で独り暮らしをしている父を昨年の秋に呼び寄せて、息子3人と夫と猫3匹という三世代同居の6人と3匹家族。

おしっこが近いというのが85歳の父の最大の悩み。ひとりで暮らしていた要介護1の父が我が家に越してきて、最初に行きたがったのが泌尿器科でした。診てもらってわかったのは、父には、前立腺が普通の人の3倍の大きさである前立腺肥大と過活動膀胱があるということでした。そういえば、何年も前から水を触るとトイレに行きたくなるとか、寒い日に外に出るとすぐに尿意を感じるとかいう話を聞いていました。それ以外にも緊張したり体のバランスを崩したりするだけでも尿意を感じるようで、このようなことを考えるだけでもトイレに行きたくなるのだそうで、これは困りものです。

泌尿器科のドクターには、尿意があってもすぐにはトイレに行かず、しばらくためてから出すという膀胱訓練をするように言われましたが、85歳という高齢で認知症もある父。尿意を感じたらすぐに出てしまうので、膀胱訓練などは到底無理。結局、肥大した前立腺を小さくするための投薬と、あとは本人の「出したいがままに」排尿する日々でした。
しかし、この「出したいがままに」が厄介だったのです。昼間だけならまだしも、夜間も頻尿。そして、漏れてしまうと気になるのか、トイレでリハビリパンツを脱いでしまい、そのまま布団に戻ってしまうことも...。廊下に垂らした尿を拭くのが、私の夜中の仕事となりました。

あまりにもトイレに行く回数が多いので、父の夜間の行動を観察すると、寝ている時間は短いときで30分、長いときで1時間半から2時間弱。夜中にトイレに行った回数は夜の10時から朝の6時までで、なんと6回もありました。これでは昼間眠くなってしまうのは当然です。

一時、父に「トイレに間に合わないから」と言われて尿瓶も購入しましたが、認知症の症状から尿瓶の存在を忘れてしまい、結局ほとんど使うことがありませんでした。父のケアマネージャーからポータブルトイレを借りたらどうかという話もありましたが、ポータブルトイレ自体が使えないのは、借りる前から予測ができました。

父は昭和一桁生まれの田舎育ち。トイレは家の外にあった時代で、家の周りは田んぼや畑だけでなく用水路もあったので、どこでも放尿できたそうです。そんな環境で育った父は、当然立って用を足します。ですが、今どきのトイレはみんな洋式。便座をあげることもしないので、父が使ったあとの便座は必ず濡れており、毎回トイレ掃除が必要になります。小さいころから洋式トイレで育った私の息子たちは、みんな座って使うことに慣れていて座るのが基本ですが、もちろん父には無理な相談です。

薬を飲み始めて半年以上たち、前立腺は20%ほど小さくなってくれたようです。それでも、相変わらずの頻尿。父のトイレに行く音で私も寝不足になり、おかげで眠りが浅くなるとトイレに行きたくなる現象を自分でも体感しています。眠りが浅いからトイレに行きたくなる、トイレに行きたくなるから眠りが浅くなる。まるで鶏と卵。悪循環です。

父のこういう状態をよく知るドクターですが、父は高齢で認知症もあり、パーキンソン病も持っているので、ふらつくと危険ということで、夜にぐっすり寝られるような薬は処方されません。それなら、できるだけ昼間に活発に活動し、良い睡眠が得られるように努力しないといけないのでしょうが、正直なところ、今の父の体力ではなかなか厳しいものがあります。

父の頻尿。認知症もあるので、仕方がないことと諦めるのも大事かと俯瞰するようになりました。父娘ともども、すべてを受け入れて付き合っていくのかな、と思いはじめた今日この頃です。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
記事に使用している画像はイメージです。
 

この記事に関連する「みなさんの体験記」のキーワード

PAGE TOP