「乳がんかな...」40歳の妻が綴っていたエンディングノート。「最後の一行」に泣いた夜<前編>

「夫婦2人の生活を楽しんでいた私たちに、大きな不安が訪れました。妻が乳房にしこりがあることに気が付いたのです。診察の結果は心配した通りでした。すぐに精密検査を受けることになり、結果が出る2週間、心配で落ち着かない毎日を過ごすことになったのです」

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■検査結果が出るまでに2週間。妻の様子は...

「なんか気になるなあ、ここ」

風呂上がりにわきの下を揉むようにしながら妻(40歳)がぼやきました。

「そんなに気にするなよ、年取ればたるみもするさ」

からかい半分にそう言いました。

「そんなんじゃないわよ、失礼ね!」

とむくれ顔です。

妻が気になっていたのは乳房の下側に感じる「しこり」でした。

来週は婦人科検診があるというので、念のために触っていて気付いたとのこと。

「あんまり気にしない方がいいよ」

声をかけても浮かない顔のままでした。

検診を受けた結果は心配した通りでした。

精密検査が必要ということで、組織採取をすることに。

小さいながらも切開するので、麻酔をするため付き添いが必要ということで休みを取って同行することになりました。

人生で初めての手術ということもあって、妻はすっかりしょげている様子です。

「乳がんかなあ...」帰りの車の助手席でぼそっと言ったのを聞いて、慌てて声をかけました。

「先生も良性の場合も多いって言ってたじゃないか。お前に悲劇の主人公は似合わないよ」

いつもなら食ってかかってくる妻が、この日は無反応です。

「まあ、百歩譲ってがんだったとしても、今の医学ならすぐ治るって...」

そう言いかけて横目で見た妻は、涙をこぼしていました。

それから、結果が出るまでの2週間、普段通りに過ごすようにしました。

普段通りに起き、朝食をとり、仕事に出て...。

妻も平気そうにふるまっていました。

休みの日には妻の好物のチーズフォンデュを用意しました。

「わあ、おいしそう」と言って食べていたのですが、手を伸ばしたときに胸が気になったのか急にうつむいてしまいました。

ぼそっと「また、食べられるかなあ」と言うのを聞いて、つい声を荒らげてしまいました。

「当たり前だろ、もういやだってぐらい食べさせてやるよ」

「...そうね、楽しみね」

妻はそう言いながら目頭を押さえていました。

その日の夜のことです。

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