「私が書店でアルバイトしていたときの忘れられない体験です。新人だった私に優しく指導してくれた先輩のAさん。ピンチのときも助けてくれて私には天使のような人だったのですが...。ある日、『裏の顔』を知ってしまったのです」

■入社祝いにスイーツのサプライズまでしてくれたAさん
私が13年前に半年ほどアルバイトをしていた書店が、先月店を閉めました。
閉店を知ったとき、アルバイトをしていた頃のことを思い出して胸が痛くなりました。
吐き出さずにはいられないので、聞いてください。
私がその書店でアルバイトをしていたのは、2007年の6月から12月にかけてです。
入社初日、駅前店ということもあってか、お店はかなり賑わっていました。
先輩達はレジ打ち、品出し、返品作業に忙しそうで、新人を気遣う余裕もなかったようです。
私は朝礼で紹介されただけで、レジの打ち方も、カバーのかけ方も教えられないまま、1時間以上放置されていました。
周囲が忙しそうにしているのに、自分だけが何もできないというのは辛いものです。
ですが、先輩たちがあまりにも忙しそうなので声もかけられず、私はただオロオロするだけでした。
そんな私に声をかけてくれたのは、Aさんでした。
Aさんは50歳手前の大柄で見るからに仕事のできそうなハキハキした女性でした。
「放っておいて、ごめんね。ここは誰に対しても、最初はこうだから気にしないでね」
Aさんはそう言って豪快に笑うと店内を案内し、各場所で忙しく手を動かす先輩たちにあらためて私を紹介して「ちゃんと面倒見てあげてね」と頼んでくれたのです。
それだけではありません。
昼休みは交代で休憩室で過ごすのですが、「初めは1人だと不安だろうから」と店長に掛け合い、一緒にとってくれました。
おまけに「入社祝い」と称して、近所のケーキ屋さんで買ったプリンアラモードをくれたのです。
なんと優しい人なのだろうと、私にはAさんが救いの女神のように見えました。
その後もAさんは私をよく気にかけてくれました。
レジの打ち方をはじめ、仕事もほとんどAさんから習いましたし、お客様からのクレームで困っているとさりげなく手助けもしてくれました。
私はAさんに会えて幸運だったと思いましたし、心から尊敬していました。
ところが、一本の電話が、すべてを変えました。
入社して5カ月が過ぎたある日、Aさんは私の携帯に電話してきてこう言ったのです。
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