「10年前に亡くなった父の遺品整理をしていた時の話です。母からB5の大きな茶封筒を渡されました。中には私が父に渡してきたお年玉のポチ袋がたくさん入っていました。受け取る時の父の嬉しそうな顔を今でも覚えています」
■照れながら娘からのお年玉を受け取る父
10年前、75歳で父が亡くなりました。
半年ほど闘病していて、最期の1週間は意識のない状態だったので、その間に家族は気持ちを整理することができました。
四十九日も過ぎ、父の遺品整理をしながら母と思い出話をしていた時のことです。
「そうそう、これはあなたに渡さなきゃと思っていたのよ」と母がB5ほどの大きさの茶封筒を持ってきました。
中には見覚えのあるポチ袋がたくさん入ってありました。
20年前、私の結婚を機に、お正月に父母へお年玉を渡すようになりました。
「おまえからお年玉をもらうようになったなんて、俺も年を取ったもんだなあ」
初めて渡した時、父は照れ臭そうに、でも嬉しそうに受け取ってくれました。
その後、子どもが生まれると、父に渡した額よりも多いお年玉が返ってくるようになりました。
「こんなにもらったらお父さんにお年玉をあげた意味なくなるじゃない」
「それとこれは別でしょ。これは〇〇(子どもの名前)ちゃんに、じいじから愛を込めて」
そう言って笑った父の顔を今でも思い出します。
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