20年前の結婚を機に両親に渡してきた「お年玉」。父がポチ袋に遺してくれた「メッセージ」<後編>

「10年前に亡くなった父の遺品整理をしていた時のことです。20年前の結婚を機に両親にお年玉を渡してきました。母に渡された茶封筒。その中には私が父にあげたお年玉のポチ袋が入っていました。父はお年玉を使うことなく、ポチ袋にメッセージを遺してくれていました」

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■ポチ袋の裏側には父の文字で...

3人子どもができたので、父からもらうお年玉は、私が父に渡すお年玉よりもずっと多くなっていきました。

それでも習慣のように私は父にお年玉を渡し、時々「何に使ったの? なんか買った?」と聞いたりしたのですが、そのたびに父は笑って「内緒」と言うだけでした。

母から受け取った封筒にはその20年分のお年玉が手付かずのまま、ポチ袋に入ったまま残されていたのです。

「お父さん、使ってなかったんだね......」

手に取ってみると、ポチ袋の裏側には父の字で「1997年□□(わたしの名前)〇〇(子どもの名前)誕生」などと毎年その年にあったことなどメッセージが一言書かれていました。

1番最後にお年玉を渡した時、すでに父は入院中でした。

お正月だけ一時帰宅していた父は「もうこんなのもらっても使えないよー」と言いながら、私からのお年玉を受けとり、そして私の子どもにそれぞれお年玉を渡していました。

「こっちこそ年金生活者にこんなたくさんもらえないよー」と笑い合ったっけ。

そんなことを思い出しながらの母との会話。

「これ、私がお父さんにあげたけど、そのまま返ってきて。それこそもう使えないよねー。ところでお母さんは? 使わずに残してあるの?」

「まさか! 友だちと贅沢なランチに行ったり服を買ったり、ありがたく使わせてもらいましたよ」

そうあっけらかんと話す母。

また2人で笑い合ったのでした。

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