ちゃんと親孝行できたかな。最後のハワイ旅行と、亡くなった父に思うこと/中道あん

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中道あん
女性の生き方ブログ!50代を 丁寧に生きる、あんさん流」主宰。Ameba公式トップブロガー。結婚22年で夫と別居。自立した人生を送るため、正社員として働きだしました。社会人の長男、大学生の長女と同居しています。要介護2の実母は3年半同居生活の後有料老人ホームにて暮らしております。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

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毎年秋になると思い出すことがあります。

2012年4月、80歳の誕生日をあと4か月後に控え、父は肝臓癌で10年に渡る闘病の末、亡くなりました。

私が転職して正社員として働き始めて1年が過ぎたところでした。

前回のエピソード:「人は他人を幸せにはできない」と私が悟ったときのこと

それまではセオリー通りに癌が進行していたので、患部が小さなうちに切除手術をしたりカテーテル治療をしたりして、日常生活はほとんど支障なく過ごせていました。
ところが、この頃からだんだんと患部を取りきる事が困難になり、癌との戦いに劣勢の陰りが見えてきたのです。

もちろん、父はそんなことは感じていないようでしたが、診察室でのドクターとの会話からは、なんとなく嫌なものを感じ取りました。

ちょうどその頃、アメリカのバージニア州で長年暮らしていた妹夫婦がハワイに移住。生活にも慣れてきたところでした。
両親はそれまでに海外旅行の経験はなく、遠い国で暮らす妹の生活をいつも気にかけておりました。
そこで、バージニア州は遠くても、ハワイなら渡航は可能かと思いドクターに相談すると、大いに賛成してくれたのです。


父78歳、母72歳、私、孫二人「ハワイ7日間大家族旅行」準備の始まりです。

まずは両親のパスポートを取るところから、お付き合いしました。

いつもどこに行くのも夫婦二人の両親は、パスポートセンターの窓口でも肩を並べ二人同時に手続きをしていました。その後ろ姿を見ているととても微笑ましい気持ちになったのを今でもよく覚えております。

準備から出発までの数か月間はあっという間に過ぎていき、いよいよ迎えた当日、両親はなにもかにもが初めてで不安なようでしたが、高齢の二人に空港スタッフも、ハワイの税関係員も親切でなんなくホノルル空港を出る事ができました。
到着ゲートを過ぎ、空港のバス乗り場で歓迎のレイを手に持ち待っていた妹に会うと、母は嬉しさのあまり涙を流しておりました。

ハワイでの5日の滞在中、早朝から夜まで妹夫婦が両親の相手をしてくれました。

妹の家にも招待され、手料理をご馳走になったと、ホテルに戻って嬉しそうに様子を話しておりました。

それから、ハワイに来たからには海も愉しみたいと父は日本から持ってきた真新しい海水パンツをはいてワイキキビーチにも行きました。
私が幼い頃、海が好きで泳ぎが得意だった父に毎年のように海に連れていってもらい、平泳ぎ教えてもらったのをよく覚えています。
そのおかげで私は小学生の頃、水泳が得意科目だったのです。

そんな思い出もあり、ワイキキの広く美しい海で泳ぎを満喫してもらいたかったのですが、波の強さに体が耐えられず怖くなったようで、ほんの少し海につかるだけであとは浜辺でぼんやりと海を眺めており、その弱々しい後ろ姿に私は、「ほんとにこれが最後のハワイ旅行になるだろうな」と、無理をしてでもハワイに連れてきて良かったなと思いました。


本当の意味で元気な姿を見る事が出来たのは翌年の秋くらいまでだったでしょうか。徐々にではありますが確実に弱っていき、ついには自力歩行が危うくなり、最後の入院となりました。

亡くなってからも時々、自分はちゃんと親孝行したかな?と思うこともあります。
その旅行の準備や道中で優しく穏やかに接していたかと言えばそうではなく、私は、口も態度も悪い、性格のキツイ娘でしたので、しょっちゅう親子喧嘩もしていました。

もっと優しく接することが出来なかったのかと、未熟な自分を反省することがあります。

でも、出来なかったことや、起きてしまったことを後悔しても、親が亡くなってしまってからでは、もう遅いのです。

だから、どうしようもないことに目をむけるよりも、「あの時の私にはあれが精いっぱいだった」そう思うようにしています。

パスポートを取りにいった時の仲睦まじい両親の後ろ姿や、母の相手をするので自由に海に入ってきたらと言った時の嬉しそうな父の顔、そんなことを思い出す度に、親孝行のつもりが、私の心が満たされていることに気づきます。それは、私にとって幸せな事で、この気持ちはきっと一生続くのだと思います。

次の記事はこちら:傷つく言葉やつらい言葉を投げかけられたときの「おまじない」の一言

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『50代、もう一度「ひとり時間」』(KADOKAWA)

20代で結婚、2男1女を授かり、主婦として普通に生きてきた。でも50代になると人生の転機が頼まれもしないのに訪れる。夫との別居、母の介護、女性としての身体の変化、子どもたちの成長。そこから見つけた「ひとりの楽しみ」をあますところなく伝え続ける「あんさん」流のアラフィフライフ。50代からの人生を前向きに過ごすためのヒントが満載。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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