「お母さん必要ないの?」息子の素直な言葉に「気付いたこと」自閉スペクトラム症の息子と家族の物語

看護師を辞めたまゆんさんに響いた太郎くんのひと言

――なぜ仕事を辞める決断をしたのですか?

まゆんさん(以下、まゆん) 当時は、業務量は多いものの、それはそこまでの負担ではなく、むしろきつかったのは職場内の環境でした。もっと一緒に働き続けたいと思えるような頼もしい仲間たちもいて、「辞めないで欲しいけど、このまゆんさんの状況をみたら『辞めないで』なんて言えないです」という言葉や手紙をいただくような状況でした。笑顔も減って、職場でも後輩の前でボロボロ泣いてしまうほど。もう、終わりの合図でした。

――太郎くんに「お母さんなんで仕事にいかないの? 必要とされてないの? 」と言われたとき、どう感じましたか?

まゆん 核心をつかれたと思いました。イラストにもあるように、ダイレクトに的を射たことを言われたと思い、心が痛みました。「必要とされているか、いないか」という考えを潜在的に持ってはいても、表に出すことはありませんでした。だからこそ、太郎のストレートなひと言は的を射ていると思いました。

必要とされるために、人の気持ちを大切にしたい

――ばあばやじいだけではなく、太郎くんもまゆんさんの体調を気遣ってくれるのですね。

まゆん ばあばは私の頑張ってる姿、苦しむ姿を何も言わずに見守るタイプ。「答えは本人次第」的な所が昔からあります。今回も私の出す答えをずっと見守ってくれてました。そして、太郎もばあばの気遣いを見て学んでるのか、本人の感性なのか、包容力があると感じることがあります。そう思うのも、私が2人を「必要としてる」からなのかもしれません。

――太郎くんの言葉をきっかけに考え方は変わりましたか?

まゆん 「看護師として必要とされたい」と思いました。そして、自分自身の考え方にも変化が生まれました。必要とされるためには、もっと人の気持ちを大切にしようと思ったのです。そして、必要としてくださってる方々の気持ちをもっと大切にしていきたいと思うようになりました。

日常に新たな視点をもたらしてくれた、太郎くんのまっすぐな質問。みなさんも家族にふと言われたことで、大きな気付きを得た経験はありますか?

 
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