ひーひー、ふー。
こわいこわい。大丈夫、落ち着け自分。謝ろう、いろいろなめ腐ってたことを謝って、傾向と対策をちゃんと説明し、きちんと数値化し......。そうだ、あれだ、今度はPDCAサイクルを回してがんばります、と約束しようじゃないか。ビジネスも家事も本質はきっと同じだからね。
「あの......。ちょっといいかな」
恐る恐る夫の視界に入り、しっかり目を見ながら言った。
「何?」
......声色でイラついてることがすんごいわかる。
「悪かったよ。今度からちゃんと規則正しくがんばるし。あの、これまで家事とかもちょっと手抜きになっててごめんね。そろそろ生まれ変わろうって思っててさ。(中略)これからはちゃんとがんばるから、今回は許してください」
PDCAサイクルがぁ~、数値化がぁ...、とか思っていたけど、離婚への恐怖で頭が全く働かず、ただただ支離滅裂に言い訳がましいことをだらだらしゃべってしまった......。
「はぁ......。ただっち、それ、前も前も前も聞いたから」
えーっと。ああ、たしかに言ったわ。頭の中ですっかり消え去ってしまっていた。
さすがにここまで夫が冷たく怒るのははじめてだけど、前から何度か注意を受けてて、
ほとんど同じような言い訳をして、その場を適当にしのいできたんだ。ああ、どうしよう。ここですべてのツケが回ってくる?
少し沈黙してから、恐る恐るこう聞いてみた。
「今何考えてるの?」
「いや、今後大丈夫なのかなって」
「えっと......何が?」
「だってそんな感じじゃ子育てとか無理じゃん。オレ、嫌なんだけど、昼まで寝てるお母さんとか」
「いやいや、私だって他人が絡んできたらちゃんとやるって。考えすぎだよ」
「......じゃあオレは? オレも他人なんだけど」
たしかに、夫も他人だ。