あのヒット曲を歌った歌姫の、知られざる恋と苦悩とは?『DALIDA~あまい囁き~』【映画】

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映画スター、アラン・ドロンとのデュエットで日本でもヒットした「甘い囁き」(73)。1950年代にフランスでデビューし、世界を魅了した歌姫 DALIDAのことを知らなくても、この曲を耳にしたら、「知ってる!」と思う人も多いのではないでしょうか。

5月19日(土)から公開される映画『DALIDA~あまい囁き~』はDALIDAの人生を、彼女の「愛」と「歌」に焦点を当て描いた作品です。デビューからずっとスターの座に輝きつづけた彼女ですが、心の中では「夫と子どものいる幸せ」を望む普通の女性でもありました。

けれど、彼女が経験したのは、自分が愛した男性のうち、3人が自ら命を絶つという耐え難い現実。それでも、ステージ上で歌い続け、人々の心をとらえつづけた歌姫。

エディット・ピアフ(注1)に「私の次はあなたよ」と賛辞を送られたことでも知られるDALIDAですが、ピアフの波乱万丈な人生を考えても、人々を魅了する歌姫は並大抵の人生からは生まれないのだろうか......と思わされます。その壮絶な恋と別れを思うと、切なさを感じずにはいられません。

注1:「愛の賛歌」などで知られるフランスの国民的歌姫。

18051803.jpgステージで歌うDALIDA。エレガントな歌唱シーン。

 

映画『DALIDA~あまい囁き~』はどんな作品?

そんなドラマティックな彼女の生涯を、自ら脚本を書き、映画にしたのは、フランスの女性監督リサ・アズエロス。女性監督の視点からDALIDAの心情を膨らませた本作には、ステージ上で輝くDALIDAだけでなく、傷ついても傷ついても愛を求め続けた、ひとりの女性としてのヨランダ(DALIDAの本名)の姿が描かれています。

恋人が変わるたびに訪れる幸福と別れ。その時々の恋を物語るのは、DALIDAの当時のヒット曲。恋のあらゆる感情がストレートに綴られた歌詞が彼女の思いを伝え、美しい恋模様と耳に残る歌声のシンクロに引き込まれます。DALIDAを知らない世代の人が観ても、特に女性は共感するところがあるのではないでしょうか。

18051804.jpg大人の魅力ただようDALIDAを演じるのは、モデル出身で、これが初の大役となったイタリアの女優スヴェヴァ・アルヴィティ。

 

映画の魅力のひとつが歌唱シーン。どんな名優でも、人々を魅了した歌姫の歌唱を「再現」することは難しい。この映画では本人の歌唱映像を織り交ぜながら、違和感なく物語を進めるという離れワザに成功しています。

劇中でDALIDAを演じるスヴェヴァ・アルヴィティも魅力的ですが、本人映像からは、作って出せるものではない時代の匂いと、彼女独特のエレガンス、そして何よりDALIDA本人の真似できない歌声が楽しめます。本人の魅力が加わることで、DALIDAの魅力がより説得力をもって伝わってくるのです。

18051801.jpg恋人リシャールといるDALIDAのワンシーン。

 

彼女の恋と人生、あなたはどう思いますか?

きっと繊細で直感の鋭い女性だっただろうDALIDA。だからこそ、心や感覚で感じたことに嘘をつけなかったのでしょう。その時々の自分の心に正直に生きる潔さと、その生き方ゆえ、たびたび彼女に訪れる孤独。新たな恋に飛び込んでいく彼女は歓びに溢れ、一方で別れのシーンはあまりに劇的。見ていても心が痛みます。

そんな歓びと痛みの中でも美しいのが、冒頭で触れた「甘い囁き」が流れる場面。DALIDAは 当時40歳前後。4人目の恋人として描かれる、新たな恋人リシャールとの恋の歓びに満たされる瞬間が、ひとつのクライマックスのように描かれています。純粋に恋に生きた女性だからこそ、その歌が多くの人の心をとらえたのかもしれません。

ヒット曲にのせ、華やかに物語られていく、DALIDAの恋模様。付き合う男性によって変わる彼女のファッションも60年代、70年代のパリの流行を取り入れていて、いま観ても素敵です。美しい歌姫の、これまで語られなかった胸の内。あなたは彼女の人生に何を思うでしょうか。

文/多賀谷浩子

『DALIDA~あまい囁き~』

5月19日(土)角川シネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー

監督・脚本:リサ・アズエロス 

出演:スヴェヴァ・アルヴィティ、リッカルド・スカマルチョ、ジャン=ポール・ルーヴ、ニコラ・デュヴォシェル、ヴァンサン・ペレーズほか 

2017年 フランス 127分

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